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自分のインタビュー補足②2015年のサマーコースの先生達

/ ニッケルハルパ奏者

昨日に続いて、私が出ているインタビュー記事・動画(ニッケルハルパ協会さんのもの)の、補足のようなものを書いていきたいと思います。

今回は私がニッケルハルパを初めて知った、2015年のサマーコースの「先生達」について、ご紹介していきます。

様々なジャンルのミュージシャンが集結していたサマーコースで、基本はジャズのミュージシャンが若干多めだったのですが、後から振り返ってみると意外とFolkmusik(伝統音楽/民族音楽)の人も多かったかも?と思っていて、印象に残った先生の授業を中心に振り返ってみます!

Lars Jannson(ラーシュ・ヤンソン)

まずは何をかくそうLars Jannson(ラーシュ・ヤンソン)です。ジャズピアニストです。日本でもかなり有名な方ですね。

日本でも演奏されているイメージですし、日本の「禅」の文化などもお好きだったように記憶しています。

私は全く詳しくありませんが、「優しくてチャーミングで自由な演奏」をされる感じがしますね。

この映像↑は2011年頃のものだそうです。サマーコースの時には、ドラムの方もベースの方も(あとギターの方もいた気がする)、全員メガネで短髪だった気がするので(そういう風にくくるのも失礼ですが)、こちらのメンバーでは無かった気がします。

Lars Jannsonは、サマーコースでは、ジャズよりも「マインドフルネス」の授業を担当していました。

2015年当時はマインドフルネスという言葉が日本ではそこまでメジャーではなかった(有名になりつつあるくらい)ので、私としては「マインドフルネス…?…って、何…?」という感じだったのですが(私が知らなかっただけかも)、

授業を受けていて、「今、ここ」に意識を向けるということなんだな~と思いました。

なんとなく「へえ~」という感じでひたすら話を聞いていたのですが、覚えているのはこちらの話です↓(ちょっとうろ覚えですが)

「親しい人の訃報を聞いた後に、窓を開けてピアノを弾いていたら、外から蝶がやってきて、ピアノの上にとまっていた。まるで(亡くなった知人が)聴きに来てくれたみたいだった」

こうして私が書くと安っぽい話に見えるかもしれませんが、当時の私は「本当かな…?でもウソは言わないよね…きっと本当なんだろう」と思いながら、蝶がピアノにとまる様子をなんとなく想像したものです。

しかもその授業の場所が、普段、私が演劇学科で使っている建物だったので、なんとなく演劇的にも感じました。

サマーコースの教諭陣の中でも、Larsは「別格の扱い」という感じで、最初の集まりの時にもLars Jannsonのミニコンサートがあったりしました。

以前、このサマーコースがコロナでオンラインになったことがあるらしく、その時の配信映像がYouTubeにありました。スウェーデン語ですが、興味のある方はどうぞ↓おもしろそうです。実演もあります。

さて、1人目から早速話が脱線しまくっていますが、次の先生です。

Emilia Amper(エミリア・アンペル)

スウェーデンの伝統音楽を担当していたのがEmiliaです。

(私は特に初期のアルバムが好きで、ついその頃の音源を貼ってしまいます)

Emiliaはニッケルハルパ奏者ですが、スモーランド地方の出身で、スモーランドと言えばフィドルの音楽が盛んな地域の1つですね。

そして、Emiliaご自身もノルウェーの音大でも勉強(研究かも?)されていたことから、ウップランド地方のニッケルハルパの曲よりも、「フィドル曲」や「ノルウェーの曲(フィドルやハーディングフェーレの曲)」を弾かれることが多く、そのために楽器の弦のチューニングを少し変えて、活動されています。

(低音から「DGDA」にしていると思います。通常は「CGCA」)

私がサマーコースを受けた時にも、ニッケルハルパで参加していた受講者に対して「私の楽器は弦のチューニングを変えているから、運指だけは参考にならないかも。ごめんね」と言っていて、「弦のチューニングを変えるとか、そういうのがあるんだな~」と思っていました。

ニッケルハルパをきちんと見たのはその時が初めてでしたが、Emiliaがあまりにも美しい音色で簡単そうに弾くので、「簡単に弾けそう」と思えたのが、非常に良かったですね。そう思えなかったらきっとこの楽器を始めていなかったと思いますので。

つい最近出たばかりのアルバムがこちらです↓

(こちらのアルバムは歌が多めですが、「feat. Emilia」になっている曲はこんな感じで、楽器が前に出ているかなと思います。伝統音楽のスタイルでの、オリジナル曲(バンドスタイル)という感じですかね)

Emiliaは本当に良い人で(他にも良い人はたくさんいて、活躍しているミュージシャンは親切な人が多かった印象があります)、楽器とミュージシャンの印象って直結してしまうところがあるので、そういう意味でも、当時の私はニッケルハルパに対して良い印象を持てたのだと思います。

さきほどのLars Jannsonの配信授業の動画を見て、「これ、他の人バージョンってあるのかな?」と思って検索したところ、なんとEmiliaバージョンもありました!

まだあまりちゃんと見ていないのですが、これはとても参考になる気がします!

Emiliaのスウェーデン語はとても聞き取りやすいので(発声・発音がしっかりしている)、今度訳せたら良いなと思っています。

私も実はEmiliaの授業を受けた時のことはあまりちゃんとは覚えていないので、彼女がどういう言葉で伝統音楽やポルスカのことを説明しているのか、とても興味があります。今度とりあげたいと思います。

Malin Foxdal(マーリン・フォックスダール)とMagnus Zetterlund(マグヌス・セッタルンド)

次の先生はMalin Foxdal(マーリン・フォックスダール)です。

Malinは色々なジャンルの歌を歌う方だと思いますが、サマーコースでは「スウェーデンの伝承歌」を中心に教えていただきました。

Foxdalって名字がかっこいいな~と思います。「キツネの谷」です。結構珍しいです。真ん中の女性↓

MalinもEmilia同様さばさばしていてとてもかっこいい女性でした。

そして横の男性はこちらも先生だったMagnus Zetterlund(マグヌス・セッタルンド(セッテルンド))。

彼は「Nordic(ノルディック)」というトリオなどで活躍されているマンドリン奏者ですが、このMalinとMagnusのお二人はご夫婦なんです。なので、一緒にご紹介してしまおうと思いました。

(※ただし、離婚していなければの話ですが。スウェーデンは離婚率が高いので)

動画ではMalinの伴奏みたいな感じでいらっしゃいますが、サマーコースでは基本的にお二人とも全然別の授業を担当されていて、Malinはスウェーデンの伝承歌、そしてMagnusはアイリッシュ音楽を教えてくれました。

アイリッシュの曲は、残念ながら私はなぜか全然覚えていないのですが(でも楽しかったです!)、スウェーデンの歌の方は覚えていて、確かこちらの曲を教わりました。動画は全然違う方ですが↓

「Klockan är tio slagen」=「10時だ」と時を知らせる歌、なのですが、この歌は、時を告げる意味合いだけではなく、「火の用心を呼びかける際に、見回りで歌う歌」としても歌われていたそうです。おもしろいですよね。

(ただし、この情報については後から調べて知ったので、当時は全然わからずに歌っていました)

他にも「バラ(rosa)がなんとかかんとか」みたいな歌を教わって、おそらくこの歌かな?と思い当たる歌はあるのですが…記憶がうろ覚えなので書かないでおきます。

ちなみにMalinは、Irmelin(イルメリーン)というフォーク・アカペラでも一時期おそらく歌われていて、このアルバムの右端の人がたぶんそうだと思うんですよね。(今は抜けていると思います)

↑この曲(=Lapp-Nils伝承のポルスカ)、結構有名な曲だと思うのですが、こちらの歌バージョンがとてもかっこいいな~と思っていて、好きなんです。

Malinもオンラインの授業が公開されていて、「毎日長時間(4~6時間)歌っても声帯等を痛めずに、疲れることのない歌唱法」についてと、「人の感情に伝わる歌」についてレッスンをしてくれています。

Malinはオンライン授業を普段からやっているそうなので、動画レッスンにも慣れていそうです。

そして、Magnusですが、Nordic(ノルディック)というトリオがこちら↓

Nordicの3名はそれぞれ大活躍のミュージシャンで、さきほどのMagnusと、ニッケルハルパ奏者のErik Rydvall(エリック・リードヴァル)と、チェロ奏者のAnders Löfberg(アンダーシュ・ルーフベリィ)です。

私はNordicの存在は以前から知っていて、Spotifyで聴いたりはしていたのですが、数年前までは全員「知らない人」だと思っていたんです。私の知らないような「新進気鋭の若いミュージシャンの方々」だと思い込んでいたんですよね。

で、ある日メンバーを調べていたら、「え、Nordicのマンドリンの人ってMagnusなんだ!」と知って、よく見たらニッケルハルパもErik Rydvallだし、Anders LöfbergもEmiliaともよく一緒に演奏したりしていたチェロ奏者だし(お父さんも有名な演奏家)、「そっか~!」と思ったことが数年前にありました。

(それまで私は演奏者を全然見ていなかったということですね)

こんな感じで、1人奏者を知るとそこからどんどん芋づる式に他の奏者を知るきっかけになっておもしろいです。

★Anders Löfbergは以前、配信コンサートの様子を紹介したことがあるので、そちらもよろしければぜひ。

Anna Lindblad & Anders Löfberg(Boda, 2020)コンサートの和訳①

Anders Hagberg(アンダーシュ・ハーグベリィ)

そして最後Anders Hagberg(アンダーシュ・ハーグベリィ)です。

この方は、私はたまたま授業があまり割り当てられずとても残念だったのですが(全員、どうしてもコマ数の関係で、いくつか受けられない授業がある)、管楽器の演奏家です。

伝統音楽ではなくて、ワールドミュージック、無国籍、即興演奏、そんな感じの印象があります。空間と、一緒に演奏している人の感じを「感じながら」演奏する、みたいな。

この先生はサマーコースの中で唯一の管楽器(フルート・サックス・クラリネット)の奏者で、そして私はクラリネットで参加していたのですが、さきほども書いた通り私はこの先生の授業をあまり受けることができず…

「なんでよりによってこの先生の授業が外されているんだ~!」と当時の私は思ったものです。

唯一1コマだけ、受けることができたのですが、その授業ではたしか「皆で輪になって、1つの同じ音を1人ずつ順番に吹いたり弾いたりして最後の人までいく」ということをしました。

その際、大事だったのが「音を前の人に少しかぶせながら、『まるで1人の人が演奏しているかのようにつなげて、全員途切れずにやりきる』」ということ。

これがなかなかスリリングで、入る時にすごく緊張するし、自分が抜ける時も緊張する。

ちょっとでも音程がずれたら仕切り直し、みたいな感じですが、音程よりも「人の音をとにかくよく聴いて、そこに一緒に馴染むつもりで音を出す」ということをよく言われました。

「自分が音を出すぞ~!他のやつらはどけ~!!」みたいな音の出し方や、「自分の番が終わったからあとはどうでもいいや」みたいなのはNGということです(その授業では)。前の人の音をよく聴き、馴染み、そして次の人へ渡す。演奏していない人も、それをよく聴く。

皆も結構シビアで、ちょっとでも微妙な音を出すとすぐに仕切り直しになり、順番自体は何回もまわってきました。さっきは上手くいったけど、今回はダメ、みたいなこともあり、結局最後までいったかどうかはよく覚えていません。

が、こんな風に授業の内容を覚えているということは、私もよっぽど集中して授業を受けたのだろうと思います。空間全体の緊張感がとてもあって、楽しかったです。

Anders自身はとても優しくてほがらかな、おっとりと話すマイペースな感じの印象でした。そして演奏はめちゃくちゃ上手かったです。

彼も配信での授業が公開されているので、こちらに貼っておきますね。「音楽の共演者としての空間」というタイトルです。

私もちゃんと見られていなくて恐縮ですが、おもしろいですね。「空間の響きを演奏にどう活かすか」(10:13~)や、水音や波の音などの「環境音との共演」(24:13~)について、ご自身の演奏動画を使ってお話しされているかと思います。逆に「全然響かない部屋」であえて演奏してみたり(31:10~)とか。


ということで、私が2015年に受けたサマーコースの先生たち(の一部)のご紹介でした。

今もこのメンバーが担当しているどうかはちょっとわかりませんが、おおむね変わっていなさそうな気がします。また、この先生たち以外にも色々な方がいらっしゃいました。

また、配信の授業も、どれもおもしろそうな内容だな~と思います。

2015年にサマーコースに参加した時よりは、私のスウェーデン語力も少しだけ向上していると思うので、時間の許す範囲で見たみたいと思います。

では、年末に差し掛かってまいりましたが、今週も良い1週間をお過ごしください!