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和訳したコンサートまとめ②「Maskin(2020)」

/ ニッケルハルパ奏者

以前ブログで和訳したコンサートの、まとめ記事②です。

今回は「Maskin(マフィーン)」の2020年のコンサートです。

曲目のリストと、補足情報、感想などを書いています。

(前回の別のコンサートのまとめはこちら→和訳したコンサートまとめ①「Duo Cavez / Paulson」

2.Maskin

「Maskin(マフィーン)」は、ウップランド地方出身の演奏家3人によるトリオです。

メンバーはOlov Johansson(オーロヴ。楽器はニッケルハルパ)、Erika Lindgren Liljenstolpe(エリーカ。フィドル)、Robert Larsson(ローベルト。フィドル)。

ウップランド地方の伝統曲、とりわけGås-Anders(ゴース・アンダーシュ)という有名なフィドル奏者の伝えた曲を中心に、オリジナル曲もまじえて演奏しています。

トリオ名の「Maskin」というのも、Gås-Andersが作った曲のタイトルからとられています。

一緒に演奏する喜びが溢れたコンサートであり、ウップランド色が色濃く出ています。

曲目リストはこちらです。リンク先はYouTubeの該当箇所が別ウィンドウで開きます。

①(00:26~)「Glöggmarschen efter Gås-Anders」(Gås-Anders伝承のグルッグマルシェン)

②(4:31~)「Gammal Ljungqvistervals nr.1」(Gås-Anders伝承のワルツ、1番)

③(9:53~)「”Glissandopolskan”, polska efter Gås-Anders」(“グリッサンドポルスカン”、Gås-Anders伝承)

④(13:27~)「Bosse & Barbros 70 års vals」av Erika(BosseとBarbroの70歳のワルツ、Erika作曲)

⑤(17:35~)「Polska till Ole Hjort」 av Viksta-Lasse(Ole Hjortへのポルスカ、Viksta-Lasse作曲)

⑥(20:41~)「Gammal Ljungqvistervals nr.2」(Gås-Anders伝承のワルツ、2番)

⑦(24:20~)「Polkett efter Gås-Anders」(Gås-Anders伝承のポルケット)

⑧(26:37~)「Elsas dopvals」 av Robert(エルサのワルツ、Robert作曲)

⑨(30:14~)「Kludd’n」 av Olov(クルッドゥン、Olov作曲)

⑩(33:55~)「Maskin」av Gås-Anders(マフィーン、Gås-Anders作曲のワルツ)

⑪(37:09~)「Dr. Erika」 av Olov Johansson(エリーカ博士、Olov作曲)

⑫(41:36~)「Kärleksvisa efter Pekkos Per」(Pekkos Per伝承の愛の歌)

⑬(46:29~)「Livsförljuverskan」av Robert(奥さんにあてて作ったポルスカ、Robert作曲)

⑭(52:21~)「Lilla Hin、Polska efter Hins Anders」(リッラ・ヒーン、Hins Anders伝承のポルスカ)

補足情報・感想

①「Glöggmarschen efter Gås-Anders」(Gås-Anders伝承のグルッグマルシェン)

最初に聴いた時は速くてびっくりしました(笑)

でも、この3人が弾くと全然、速さや忙しさを感じさせません。

繰り返しの際(1周目・2周目)は、Bパート(曲の後半のパート)の2回目を省略して弾いています(3周目だけB2回)。CDもそうなっています。

Erikaがアンドラステンマ(メロディ以外のパート)に行くと一気に豪華になるなあ、と思いました。

②「Gammal Ljungqvistervals nr.1」(Gås-Anders伝承のワルツ、1番)

私が留学していた時、Erikaが学校の事務員として働いていたのですが、Erikaが仕事をあがった後にたまに他の職員さん(演奏家)と一緒に弾いていて、この曲もそのイメージがあります。

この曲の演奏の後、Olovが「この曲の自分のイメージ像」として「Curt Tallroth」と「Olof Jansson(Olov Jansson)」の名前を挙げていると思いますが、そのうちCurt TallrothとOlov自身が演奏している音源はこちらです↓

④「Bosse & Barbros 70 års vals」av Erika(BosseとBarbroの70歳のワルツ、Erika作曲)

別のコンサートの動画で、Bosseがたしか昨年?(曖昧ですみません)くらいに亡くなったと聞きました。

そうなんだ、と思いながらこの曲を聴いていて、あらためて、とてもきれいな曲だなあと思っています。

参考までに、BosseがOle Hjorthと一緒に弾いている音源がこちらです↓曲は違う曲です。写真の向かって左側がBosse、右がOleです。ちなみにBosseはRobertのお父さんで、Viksta-Lasseの甥。Ole Hjorthは私がよく訳すコンサートの会場になっているBror Hjorths Husの、Bror Hjorthの息子さんです。

そのOleに向けて作られた曲が、次の⑤です。

⑤「Polska till Ole Hjort」 av Viksta-Lasse (Ole Hjortへのポルスカ、Viksta-Lasse作曲)

曲も素敵ですが、アレンジもカッコいいです。

参考:「Oles polska」↓

⑥「Gammal Ljungqvistervals nr.2」(Gås-Anders伝承のワルツ、2番)

この曲は私はMaskinの演奏で初めて聴きました。

最初のOlovの伴奏がとても爽やかで、ちょっと真似してみたのですが、メロディと1拍分ずれた長さのフレーズの繰り返しになっていて、最後だけ帳尻を合わせるフレーズになっていると思います。音で言うと「ラ、ド、レ、ミ、ラ、ファ、ミ」をループで繰り返して最後に「ラ、レ、ド」をくっつけます(つまり、ラドレ・ミラファ・ミラド・レミラ・ファミラ・ドレミ・ラファミ・ラレド)。その間、ずっとC弦の「ミ」も同時に弾き続けます。きれいだなと思いました。

⑦「Polkett efter Gås-Anders」(Gås-Anders伝承のポルケット)

話に出てきたViksta-Lasse、彼が弾いているバージョンがこちらです↓

一緒にハーモニカを吹いている(写真の向かって左側の人物)のはSven Larssonで、Viksta-Lasse(写真右側)の兄弟であり、Bosseのお父さんであり、Robertのおじいさんです。

⑧「Elsas dopvals」 av Robert(エルサのワルツ、Robert作曲)

これは私の個人的な思い出ですが、このワルツとさきほどのポルケットは、留学中にRobertのワークショップ(1日かけたワークショップ、授業では無くて学校で行われた一般向けのもの)で教わったなあと思います。

Robertは素晴らしい演奏家ですが、先生として教えることは(他の先生たちに比べると)あまり慣れてはいないみたいで、模範演奏の動画を撮る時に、ワークショップの参加者たち(ほとんどがおばさま方、ワークショップに参加慣れしている人たち)に「動画を撮る時はこういう風に言ってから撮るのよ!」とか色々指示をされているのがおもしろかったです。

⑩「Maskin」av Gås-Anders(マフィーン、Gås-Anders作曲のワルツ)

参考:BosseとOleの弾くバージョン↓

⑫「Kärleksvisa efter Pekkos Per」(Pekkos Per伝承の愛の歌)

Hjort Anders(ヨート・アンダーシュ)が伝えた曲です。

Hjort Andersはダーラナ地方のBingsjö(ビングフォー)出身でBingsjöの伝統を持ち、のちにウップランド地方へ来たフィドル奏者です。ウップランド地方でBingsjöの曲を伝え、Viksta-Lasseの先生であったり、Bror Hjorthが最も尊敬した奏者で、Brorの息子のOleのフィドルの先生でもありました。

(Pekkos PerもBingsjöの昔の奏者で、Pekkos Perが弾いていた曲をHjort Andersが伝えた、という順番です)

Hjort Andersの演奏(たぶん)はこちらです↓このアルバムの絵もおそらくBror Hjorthの絵ではないかと思います。

また、Erikaが「最も美しい演奏」と言っていたBosseの、2015年の演奏がこちらです↓確か病気か何かの影響で、ここ数年は筋肉が思い通りに動かなくなっていた(表情筋なども、本人が笑っているつもりでも笑顔になれない)と聞いていますが、やっぱり素晴らしい演奏だと思います。

⑬「Livsförljuverskan」av Robert(リーヴスフェユーヴェシュカン、Robert作曲)

この曲は私はMaskinのアルバムの中で一番好きかもしれません、最初に真似した弾いてみた曲になります。

CDバージョンよりもコンサートのErikaのアレンジがさらに好きな気がします。Aパートの最後の方にオクターブ上がったりとか、かっこいいなと思います。

この曲、Olovの曲「Ena foten i Uppland」と似ているなと思いました。最初に聴いた時は同じ曲かと思っていました(笑)

⑭「Lilla Hin、Polska efter Hins Anders」(リッラ・ヒーン、Hins Anders伝承のポルスカ)

参考:BosseとOleのアルバム、同じ曲の演奏

BosseとOleのどちらかが弾いているのだと思いますが、どちらの演奏かはわかりません。

と、このような感じで、Maskinのコンサートを聴き返しながらまとめてみました。

MCを和訳した記事はこちらです↓

「Maskin」のコンサート日本語訳①

「Maskin」のコンサート日本語訳②

「Maskin」のコンサート日本語訳③

「Maskin」のコンサート日本語訳④


以上、和訳した「Maskin」のコンサートのまとめ・補足情報・感想を書きました。

曲数がたくさんあるので、聴いていてなかなか盛りだくさんなのですが、素晴らしいコンサートです。

お読みいただき、ありがとうございました。