「Väsen Duo」(2021)のコンサートの日本語訳③です。
①と②はこちら↓
「Väsen Duo i Bror Hjorths Hus」(2021)コンサートの日本語訳①
「Väsen Duo i Bror Hjorths Hus」(2021)コンサートの日本語訳②
動画
前回の続き(25:17~)からの再生です。
(前回の曲)
④「Den gröna ön」 av Mikael Marin
⑤「Hardrevet」 av Eric Sahlström
(25:17~)
(Micke):で、次の曲は…次もEricの作った曲でしたっけ?
(Olov):ええ、次もEric Sahlströmが作った曲です。
ある日、彼は教会から、屋外で行うミサでの演奏を頼まれました。
Strömaren(ストルンマレン/ストルンマン)という湖で行われるもので、彼が住んでいたところからはそんなに遠くありませんでした。
彼は承諾し、そのために曲を作ろうと思い、実際に作りました。
しかしその後で、彼が教えてくれたことには、
「湖までの道のり(※車での道)があまりにも曲がりくねっていて、曲を忘れてしまったんだよ。
曲が思い出せなかったんだ」と。(Micke笑っている)
そして、(思い出せなかった曲の代わりに)「『Brännvinsmarschen(お酒を振舞う時に演奏された行進曲)』をゆっくりめに、厳かな感じで弾いたんだ。そしたら皆、気に入ってくれていたみたいだよ」と。(笑いが起きる)
その曲(Brännvinsmarschen)のことは『祝祭の行進曲』と呼んだそうです。
しかしその後、家に帰る時にさきほどの曲がり道を運転していたら、曲を思い出したそうです。
で、家に着いてからその曲にしっかりと取り組んだそうです。
その曲は、のちに「Andakten(アンダクテン)」と名付けられ、今では色々なところで弾かれるとても有名な曲になりました。
(Micke):その曲を演奏したいと思います。
(Olov):本当に美しい曲です。
※「Andakt(アンダクト)」というのは、シンプルなかたちのミサ、もしくは、そういった宗教的・祝祭的な雰囲気や空気、厳かで落ち着いた雰囲気などを指す言葉のようです。
⑥(26:32~)「Andakten(アンダクテン)」 av Eric Sahlström
(29:11~)
(Micke):ありがとうございます。
次はワルツです。
コロナ禍の暗い時期のさなかに私が作りました。
曲名は「Alla ensammas lilla vals(すべての孤独な人たちのための小さなワルツ)」です。
⑦(29:32~)「Alla ensammas lilla vals(すべての孤独な人たちのための小さなワルツ)」 av Mikael Marin
(33:30~)
(Micke):ありがとうございます。
さあ、ここからはちょっと元気に(自分たちを鼓舞して)いきたいと思います。
(2人で笑う)
ということでOlovはシルベルバスハルパを手に取りました。
(Olov):はい、これは陽気ですから。
(Mikce):私たちが持っている中で一番陽気なやつですね。
(笑いが起きる)
さて、次は何を演奏しますか?
(Olov):次の曲は美しい、古いポルスカです。
多くの演奏家たちによって演奏されてきていて、私たちも教わりました。
私にとってはとりわけIvar Tallroth(イーヴァル・タルロート※演奏家)がそうです。
彼はここ(※Bror Hjorthのアトリエ)に何度も来て(※Bror Hjorthと一緒に)楽器を弾いていました。
Ivarがよく教えてくれたのですが、Bror Hjorth(※このアトリエの主)はIvarに電話をしてきて、こう言っていたそうです。
「すぐにここに来てくれ、フィドルを持って。一緒に古い曲を弾こう!タクシーを使いなさい(タクシーに飛び乗りなさい)、私が運賃を支払うから!」と。
(笑いが起きる)
IvarはValsätraに住んでいたので、そんなに遠くはなかったものですから。
そして、Eric Sahlströmもまた次の曲を弾いていました。
Ericはこの曲を「Polska efter Smultrongärds-Ida(Smultrongärds-Ida伝承のポルスカ)」と呼んでいました。
(※Smultrongärd(スムルトロンヤード)という単語には「野イチゴ畑」という意味がありますが、ここでは地名のようなもの(家の番地の名前)になります。Smultrongärdに住んでいたIda(イーダ)で、Smultrongärds-Idaです)
(Micke):その人はどんな人だったのですか?
(Olov):Smultrongärds-Ida、彼女はフィドルを演奏していました。
体格が良くて(身体が大きくて力持ちで)、エレガントな(おしゃれな)女性でした。
Eric Sahlströmと友達で、シルベルバスハルパを演奏する兄がいました。
お兄さんの方は「Skorpstu-Gustaf」と呼ばれていたそうです。
(笑いが起きる。※Skorpstuというのは、Gustafが住んでいたところのSkorpstuganから来ている名前だと思います。笑いが起きているのはなぜかわかりませんが、たぶん名前が変だと思ったのだと思います)
(Micke):まあ、そういう名前もありだよね。
(Olov):Idaは色々なところをまわって、自分で作った軟膏を子どもに塗ってあげていたんだそうです。
(Micke):…それはずいぶんと深刻/真剣そうだね。(笑いが起きる)
(※↑「Det låter allvarligt」と言っていますが、この言葉は本当に深刻そうな時にも使うし、あえて茶化すような時にも使うので、ここでどういう意味で言っているのかはわかりません。おそらく、茶化しているような気がします)
(Olov):その軟膏はなんにでも効いたそうですよ。
(Micke):そうなんだ。万能薬だったんだ。
ワックスのサービスみたいなものかもしれませんね。(※ここ訳違っているかもしれませんが)
(Olov):そうかもね。(2人で笑う)
(Micke):で、次の曲はその人のポルスカだよね?
(Olov):そうです。
⑧(35:28~)「Polska efter Smultrongärds-Ida(Smultrongärds-Ida伝承のポルスカ)」
続きはまた明日。
以上、Väsen Duoのコンサートの日本語訳③でした。
今回は落ち着いた美しい曲が最初に2曲続きましたね。
話は変わりますが、昨日、Väsen Duoの「Vimeo」の動画(英語での配信コンサートの動画)について言及しました。
この動画は無料で見られるもので、VimeoのOlov Johanssonのページから見られます。
その動画の中でOlovが話していたことをちょっと書きたいと思います。
Smultrongärds-Idaのポルスカに関して、ある日OlovがEricに「重音とトリルを入れて演奏することは可能か?」と聞いたんだそうです。
そしたらEricが、(Ericは新しい挑戦が好きだから)「やってみよう」ということで、重音とトリルを入れて練習して、それを聞かせてくれたそうなのですが、
最終的には「重音とトリルだらけの曲」になって、メロディがほとんど残っていなかったらしいです。
ちょっと笑っちゃいますよね。もうそれ別の曲じゃん、という。
でも素晴らしい演奏だったそうです。
あと「Andakten」の時にEricが運転していた車はVolvoだそうです。スウェーデンはVolvoの車が多いですね。
では、また明日の分もお楽しみに。
お読みいただき、ありがとうございました。