和訳したコンサートのまとめ、今回はOlov Johanssonのソロコンサートです。
4.Olov Johanssonソロコンサート
2021年にBror Hjorths Husで行われた、Olov Johanssonのソロコンサートの動画です。
Olov Johanssonは日本やアメリカをはじめ、世界的に活躍しているスウェーデン人のニッケルハルパ奏者です。
このコンサートはコロナ禍で無観客で行われましたが、シーンとしている中でのソロの演奏がとても印象的でした。
ニッケルハルパの種類ごとの説明や、昔の演奏家たちの話もとても興味深いコンサートです。
曲目のリストはこちらです。
①(1:05~)Bohlins skänklåt / Skänklåt efter Hellstedt(ボリーンもしくはヘルステッド伝承のフェンクロート)
②(7:21~)「Ballongen」 av Olov Johansson(「風船」、Olov作曲)
③(13:33~)Rory Dall’s Port & Masbopolkett efter Eric Sahlström(1つ目はアイリッシュの曲、2つ目はエリック・サールストルム伝承のマースボーポルケット)
④(19:01~)「Fritz Widlund」 av Olov Johansson(「フリッツ・ヴィードルンド」Olov作曲)
⑤(23:23~)Polska efter Svedmark(スヴェードマルク伝承のポルスカ)
⑥(26:59~)「Adventspolska」 av Olov Johansson(「アドヴェントのポルスカ」Olov作曲)
⑦(32:46~)「Kristinas brudpolska」 av Curt Tallroth & 「Bästen」 av Curt Tallroth(「クリスティーナの結婚式のポルスカ」&「べステン」。両方ともCurt Tallroth作曲)
⑧(39:57~)「Valsätrapolskan」 av Ivar Tallroth(「ヴァールセートラポルスカン」Ivar Tallroth作曲)
⑨(44:48~)「Bisonpolska」 av Olov Johansson(「ビーソンポルスカ」Olov作曲)
⑩(49:09~)「Trollrikepolskan」 av Eric Sahlström(「トロルリーケポルスカン」Eric Sahlström作曲)
⑪(52:17~)アンコール:「Till Gösta」 av Olov Johansson(「Göstaへ」Olov作曲)
ウップランド地方の伝統曲、ウップランド地方の演奏家が作った曲、そして自分のオリジナル曲やCDの曲などを中心に演奏しています。
このコンサートは、私は自分で聴くだけで満足というか…あまりここに書くような感想は思いつかない気がします(笑)
なので、補足だけちょこっと書いていきたいと思います。
補足・感想など
①Bohlins skänklåt / Skänklåt efter Hellstedt(ボリーンもしくはヘルステッド伝承のフェンクロート)
skänklåt(フェンクロート)というのは、昔、「演奏家が演奏のチップをもらうために練り歩きながら演奏した曲」と言われています(→私はそうだと思っているのですが、もしも違ったらすみません)。2拍子の曲です。
現代ではあまり練り歩きをしてチップをもらうということはないので、普通に演奏曲の1つとして、演奏されています。
このコンサートでもよく名前が出てくるCurt Tallrothと、Olovが一緒に弾いている演奏がこちらです↓CD「Örsprång」
このCDでは、CurtもOlovもニッケルハルパ/フィドル/その他の楽器を混ぜて演奏していて、この曲の場合は2人ともフィドルを使っています。
動画のコンサートでの演奏は「コントラバスハルパ」が使われているので、同じ人が弾いているのに、だいぶ雰囲気が違いますよね。
私はCDの演奏のイメージがあったので、「明るくてかわいい曲」というイメージがあったのですが、コンサートの方を聴いて、「この曲はこういう風に『厳かな雰囲気』にもなるんだな」「楽器や弾き方によって雰囲気が変わるんだな」と思いました。
というか、Olovがソロで弾くと、どの曲も素敵に聴こえます(笑)
②「Ballongen」 av Olov Johansson(「風船」、Olov作曲)
この曲は特徴的で不思議な雰囲気がありますが、Olovの作る曲には、こういう雰囲気の曲が多いと思います。
「こういう雰囲気の曲」というのは、「ソロで弾かれると、最初は拍がとりにくくて(メロディが一見よくわからなくて)とりとめが無かったり、不思議な感じがするのだけど、誰かが伴奏などで入ると、伴奏(アレンジ)の持っていき方で曲の雰囲気がガラッと変わる」という曲です。
伴奏次第でメロディの持つ魅力が変わってくるので、ある意味では伴奏の力量次第。ただし、見方を変えれば、「伴奏がおもしろい場合は、メロディよりも伴奏を聴かせることのできるタイプのメロディ」でもあります。(メロディがとりとめが無く、フレーズの切れ目やコードなどがあらかじめ決められていない分、伴奏の持って行き方にメロディを引っ張ってくることができる、伴奏が主役になる)
たとえばこの曲とかもそんな感じがします↓私はこのCDは持っていないので、正確には情報がわかりませんが、Olovが作った曲だと思います。「Skridskolåten」
あとVäsen Duoで弾いている「Verkstad」もそういうタイプの曲な気がします。これについては明日の記事の記事で少し書きます。
「Ballongen」の曲の話に戻りますが、この曲は、③・④とともにハープ奏者Catriona McKayと一緒に「The Auld Harp」というアルバムで演奏しています。
このアルバムはYouTubeなどでは一部の曲しか公開していないようなのですが、機会があればぜひ聴いてみてください。
⑤Polska efter Svedmark(スヴェードマルク伝承のポルスカ)
この曲はこちらのアルバムでも演奏されています。「I lust och glöd」↓
コンサートでは「シルベルバスハルパ」で弾いていますが、こちらはニッケルハルパ(現代のキーが3列タイプの)です。
これもまた楽器によって雰囲気が少し違います。
次の曲の⑥「Adventspolska」とともに、Väsen Duoでも弾かれている曲になります。
また、Josefina Paulsonもこの曲を「音大時代にOlovに教わった曲」と説明して、音大の(大学院の?)Graduation Concertで弾いています↓(14:45~15:52)
関係ない話題ですが、この時Josefinaは妊娠中ということで、妊娠中にこんなに弾いているのすごいな(大丈夫かな)って思いました。おなかのことがあるので、普段よりも楽器を高いポジションにして弾いていると思います。
⑦「Kristinas brudpolska」 av Curt Tallroth & 「Bästen」 av Curt Tallroth(「クリスティーナの結婚式のポルスカ」&「べステン」。両方ともCurt Tallroth作曲)
Curtと一緒に弾いているバージョンです↓「Kristinas brudpolska」
「Bästen」↓
お聴きいただくとわかると思うのですが、アルバムだとCurtと二人で弾いているので、正直どれがメロディの音なのかわからない部分があります。このアルバムの曲全体的に私はそうなのですが(笑)
CDを真似して弾いていても「たぶんこれ、私間違っているな…」と思いながら弾いています。特にメロディが低い音になると、ステンマ(メロディじゃない人)が目立ってきてよくわかりません。
ですので、ソロで弾いてくれるとすごくありがたいです。
Olovは他の配信コンサートでもソロでこの2曲を弾いています↓(Kristinaは3:02~5:06、Bäsetenが5:06~6:25)(この動画は、この2曲以外にもコンサートとかぶっている曲があります)
⑩「Trollrikepolskan」 av Eric Sahlström(「トロルリーケポルスカン」Eric Sahlström作曲)
Eric自身が弾いているバージョンがこちらです。一部ですが↓
⑫アンコール:「Till Gösta」 av Olov Johansson(「Göstaへ」Olov作曲)
そして最後の曲ですが、この曲は「Väsen」(トリオだった頃)のアルバムの、一番最後の曲として収録されています。
コンサートを聴いていて、ソロだとこういう雰囲気になるんだな、と思いました。無観客でシーンとしているのがかえってこの曲に合っていたかも、と思いました。とても良かったです。
と、このような感じでOlovのソロコンサートをまとめてみました。
和訳した時の記事はこちらです↓
「Olov Johansson ソロコンサート」(2021)の日本語訳①
「Olov Johansson ソロコンサート」(2021)の日本語訳②
「Olov Johansson ソロコンサート」(2021)の日本語訳③
「Olov Johansson ソロコンサート」(2021)の日本語訳④
「Olov Johansson ソロコンサート」(2021)の日本語訳⑤
以上、Olov Johanssonのソロコンサートのまとめでした。
Olovの演奏は、一見ガンガン弾いているように聴こえるのですが、動画で見るととても丁寧に音を出していることがよくわかります。
こういう動画を見ると、見ている人の演奏にも、とても良い影響があると思うんです。コンサートを見る前と見た後では、音の出し方が変わりますから。
お読みいただき、ありがとうございました。