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ロースラーゲン(Roslagen)の曲とあれこれ

/ ニッケルハルパ奏者

今回は歴史から一旦離れて、ニッケルハルパの話題などを書いていきます。

前回のヴァイキングの記事で「ロースラーゲン(Roslagen)」というウップランド地方の地域名が出てきました。

★前回の記事→スウェーデンの歴史⑤ヴァイキング時代(略奪と交易)(ロシアやルーシ族の語源として、「ロースラーゲン」が関わっているのでは?という内容でした)

このロースラーゲン、「ウップランド地方沿岸部」の辺りを指すのですが、ロースラーゲンと言えば、20世紀のニッケルハルパ奏者、セイロン・ヴァリーン(Caylon Wallin、1922-1984)が演奏する曲の伝承地域だ!と思ったので、今回は、音源もあわせてその辺りをを自由にご紹介したいと思います♪

アルバム「Roslagslåtar(ロースラーゲンの曲)」(Ceylon Wallin、Henry Wallin)

私がロースラーゲンという単語を初めて知ったのは、ニッケルハルパ奏者セイロン・ヴァリーンの赤いアルバムのタイトル「Roslagslåtar(ロースラーゲンの曲)」からです。

それで、「ロースラーゲンっていう地域があるんだな~」と、ふんわり思っていました。

赤い2枚組のアルバム

このアルバム、赤いジャケットでとても目をひきます。

YouTubeでこちらに埋め込もうとしたのですが、権利の関係で日本のYouTubeでは聴けないみたいです。チャンネルページはあるので、スウェーデンでは聴けそうなのですが。残念。

代わりに、Spotifyの方のリンクを埋め込んでおきますね。Spotifyだと聴けます。赤いアルバムのジャケットが見えると良いのですが…↓

アルバムは2枚組で、セイロン・ヴァリーンと弟のヘンリー・ヴァリーン(フィドル奏者)の演奏、そして父親のアルビンの歌声も少し入っています。他の人の音も入っていますが、基本的には彼ら親子のレパートリーがたくさん詰まったアルバムです。

(1枚目はヘンリーがメイン、2枚目はセイロンがメインになっています)

ちょっと「ザ・伝統曲の演奏アルバム」という感じでもあるので(=短めの演奏曲がたくさん収録されているので)、玄人向けなアルバムな気もしますが、のどかで良い感じです。彼らのレパートリーを覚えるにもとても参考になります。

同じCDの本バージョン(曲の一部を楽譜にして、補足説明を載せたもの)も留学先の学校に置いてあり、CDジャケットと同じように赤い装丁の本になっていて、セットで見るとかわいいなと思いました。

セイロンの演奏について

セイロンは独学でニッケルハルパを始めたということで(ニッケルハルパだと、そういう方は多い気がしますが)、彼の演奏方法は少し独特だとも言われています。

その影響なのかどうなのかわかりませんが、彼の演奏は、3拍子のポルスカなんだけどたまに1拍余分に伸ばしていたり、トリルがたくさん入っていたりします。

また、ゆったりしたテンポで演奏されるのも特徴的だと言われていて、確かにそうでもあるのですが、あらためて聴くとそこまでテンポ的に遅いわけでもなかったりして(意外とサクサク弾いていたりして)、色々と発見もあります。

◎本人の演奏映像↓

こうして見てみると、確かに、弓の動かし方が独特ですよね。弓を返す時に、細かくタタタンって入る感じというか。アップからダウンに行く時に、毎回クイッと動かしています。

弓の軌道も、直線的にまっすぐ動かす演奏家もいるのですが(現代の演奏家はこちらの傾向が多い気がします)、セイロンはかなり半円に近いような形で、弧を描くように動かしている感じですね。

◎ちなみに、セイロンは切手に描かれたことがあります。こんな感じだそうです↓

演奏仲間ハッセ・イッレ(Hasse Gille)のエピソード

セイロンと仲の良い演奏家の1人に、ハッセ・イッレ(Hasse Gille)というニッケルハルパ奏者がいました。こちらの動画の人です↓

このハッセが、ちょうどこの動画↑の再生箇所で話していた短いエピソードが好きなので、ご紹介しますね。


ある日セイロンと話していたら、彼がこういう愚痴を言ってきたんだ。

「自分は切手になったから、他人に背中を舐められちゃうよ」(←切手だけに)と。

だから私はこう答えた。

「自分はスーパーの袋になったから、きっと中にゴミを入れられちゃうよ」(←スーパーのレジ袋はゴミ袋に再利用されるので)

ってね(笑)

(おわり)


私が文章に書くとなんだか味気ないかもですが、ハッセが話すとてもチャーミングです。

ハッセが描かれたスーパーのレジ袋というのは、動画の中で彼が手にしている袋です。

チェーン店の「ICA(イーカ)」というスーパーの、店舗限定のレジ袋なのですが、ウップランド地方の演奏家たちが描かれていて、すごく素敵です。私も1枚保存してあります。

(動画ではさらに、ハッセが袋の人物たちを指さしながら「この人は生きていて、この人はもう亡くなっていて、これはまだ生きてて…うーん、まだ数人残ってるみたい、生きてる人。あはは」と笑いながら話してくれています)

ロースラーゲン(Roslagen)について

最後に、ロースラーゲンの地域についてもご紹介したいと思います。

「ロースラーゲン」ですが、これはピンポイントな地名というより、「ウップランド地方の沿岸部や群島の辺りを総称した言い方」なのかなと思っています。

ちなみに、ウップランド地方はこの緑の丸の中の地域です↓右側が海(バルト海)に面している沿岸部で、ちょっとギザギザしていて、この地図には反映されていない島々がたくさんあります。

さらに、ウップランド地方の拡大図です↓細かいところはちょっと適当ですが…

この地図、ニッケルハルパに関係する地名を書きこんでいったら自然と地名が北部に集中し、「やっぱりニッケルハルパは、ウップランド地方の中でも特に北部で盛んだったんだな~」と思いました。

海沿いの地域ですが、景色としては、こんな感じでした。海沿いの地域まで遠出した時に撮った写真↓

海の写真だけ載せても、ここがスウェーデンなのか日本なのかよくわからないかもしれませんが…(笑)

↓こっちはちょっとスウェーデンっぽいですかね?岩肌の雰囲気が。

話が飛びますが、先日、東京都美術館で開催中の「スウェーデン絵画展」を見に行ったのですが、ちょうどこういう岩肌と海の景色がいくつも描かれていて、「ああ、スウェーデンだ…」と思って、とても懐かしい気持ちになりました。

同じ日の別の写真↓このフェリーに乗って島まで行けるのですが、フェリー自体が「国道」扱い(?)になっているそうで、乗船料金がかかりませんでした。

ロースラーゲンの紹介はこんな感じです。

ここが、1200年前にはヴァイキングたちのいた土地だったんだと思うと、不思議な感じがしますね。

(正確には、ヴァイキングたちがいたのはもっと内陸部の方だったかもしれませんが)


…ということで、ヴァイキングの話題で出てきたロースラーゲンの地域を、ニッケルハルパとからめてご紹介してみました。

次回はまた歴史の話に戻り、ヴァイキング時代から中世に入るくらいまでを書ければと思います。

セイロン・ヴァリーンやハッセ・イッレについては、こちらの記事もどうぞ↓

★セイロン・ヴァリーンについて→Ceylon Wallinについて

★ハッセ・イッレについて→Hasse Gille(ハッセ・イッレ)について

ありがとうございました♪