峰村茜のホームページへようこそ!どうぞごゆっくりご覧ください。

ニッケルハルパの調律は中全音律と言うらしい

/ ニッケルハルパ奏者

ニッケルハルパの調律/チューニングについて、自分の中で新たな発見があったので、それについて書きたいと思います。

ヨン・オールソン式チューニング

先日、ニッケルハルパのチューニング方法について少しお話しする機会がありました。

ニッケルハルパのチューニングは、基本440Hzです。全部チューナーの0(メーターの真ん中)に合わせていただいても全然大丈夫なのですが、一般的には「ヨン・オールソン(John Olsson)式チューニング」というのを教わるので、私はその方法でチューニングしています。

ヨン・オールソン式チューニングは、チューナーで合わせる際に、全部を0で合わせるのではなく、Aは-2とか、Cは+4といった感じで、セントで微妙にずらす方法です。

演奏弦だけではなく、共鳴弦、そしてlövの向きに至るまで、すべてにおいてこのヨン・オールソンでチューニングすると良いと言われています。

詳しくはこちらの記事に書いているので読んでみてくださいね。

ニッケルハルパのチューニングについて~John Olsson式チューニング、スマホのチューナーアプリ、他の楽器との合わせ方~

(★チューニングの仕方(苦手な人・初めての人向け)←こちらはチューニングが苦手な方向けの実用的な記事なので、ヨン・オールソンとはあまり関係無いかも)

ヨン・オールソンは少しずつずらす方法なので、「ややこしい」とか「面倒くさい」と思うかもしれませんが、慣れれば全然難しくありません。普通に0に合わせるのと同じ労力です。

このチューニングっていったい何なんだろう?と思った

このヨン・オールソンチューニングなのですが、先日他の方とこれについてお話しする機会があり、「このチューニングって、結局のところなんなんだろう?」と思ったんです。

チューニング方法は色々ある

「なんなんだろう?」というのはつまりどういうことかというと…。

ちょっと話が逸れますが。

チューニング(調律)って、要するに「音と音との間隔の調整」なのですが、いくつも方法があるそうなんですね。

たとえば和音を出す時って、全部の音が等間隔に並べばきれいな和音になるかというとそうではなく、「あえて音の間隔を少し広げたり狭めたりする」ことで初めてきれいなハーモニーが出ます。

(私は中学・高校と吹奏楽部にいましたが、吹奏楽部時代に、こういう和音練習(他の人の出す音に合わせて自分の音(3度/5度の音)を微妙に上げ下げしてきれいな和音を作る練習)をしたのをよく覚えています。非常に苦手な練習でしたが…)

で、「何を優先するか」で、チューニング方法(チューニングする時の基準、調律法)って変わってくるんですよね。

たとえば全部の音を等間隔で平均的にチューニングすると、どの和音も、ピタッとはハマらない。けど、「音階によって音や音の間隔のずれが発生する」ということが無いので、転調しやすい。どの音階でも使える、という感じになります。これがいわゆる「平均律」。

一方で、特定の音階や和音がきれいにハマるようにチューニングすると、その音階や和音では非常にきれいに響くけれど、違う音階になった時に音の間隔が大きくずれて演奏できなくなってしまう。ただし、きれいな音階では本当にきれい響く。これがいわゆる「純正律」。

(かなり大雑把な説明ですが)

楽器が、鍵盤楽器か弦楽器(フレット上を指が自由に動けるもの)かでも、この辺はかなり変わってくるかと思います。

たとえば鍵盤楽器系だと、一回チューニングしてしまうとそれが固定される(曲中は、それぞれの鍵盤の音の高さを自由に変えることはできない)ので、それを意識した調律をする必要があるのかもしれないし、

フレット上を自由に動ける弦楽器だと、曲中でも自分で音の高さをある程度コントロールできるので、転調とかにも自分の技術で対応しやすい、かもしれません。

(※この辺、知識の無い頭で専門的なことを書いているので、違っていましたら大変申し訳ありません)

調律自体は、平均律とか純正律以外にもいくつかあるみたいなのですが(ピタゴラス音律とか)、よく聞くのはこの2つかなと思います。

ヨン・オールソン式チューニングとはいったいなんなんだ?

で、さきほどのニッケルハルパのヨン・オールソン式チューニングに話が戻ります。

私はこういう話題について全く詳しくないので、やれ「平均律だ」「純正律だ」という周りの話をいつも横でぼーっと聞いていて、なとなく「よくわからないけど、ヨン・オールソンは、0に合わせるわけではないから平均律ではないんだろうな~」くらいに思っていました。

平均律ではないんだろうけど、じゃあ何?と訊かれるとよくわからない。

いつもはそこで思考がストップしていたのですが、「でも、じゃあ、なんなんだろう?」と、先日ちょっと思ったんですね。

そこで、留学時代に何度も目にしたプリント(を写真にして保存したもの)を引っ張り出してきたら…

普通に答えが書いてありました(笑)

ヨン・オールソン式チューニングは、「Medeltonsstämning」だそうです。

(え、こんなの今まで書いてあった?って思いましたが間違いなく書いてありました。私が見ていなかっただけです)

Medeltonsstämning(中全音律)

これは、日本語だと「中全音律」。5度を少し下げた(狭めた)調律で、その分、純正3度(=長3度がきれいに聴こえる)を維持したまま、そこまで他の音を濁らせずに弾けるもの…だそうです。

純正律とも平均律とも微妙に違うもの、という感じでしょうか。

(本当は調べるともっと色々書いてあるのですが、省略しています。気になる方はぜひご自身で調べてみてだくさいね!)

で、この中全音律だと、純正律ほどではないにしても、きれいに響く音階・得意な音階というのが限られていて、「♯が3つ、♭が2つ」の音階まではきれいに響くけど、それ以上の音階だと濁りがかなり発生してしまう、のだそうです。

(純正律だと、1つの音階しかきれいに弾けないようなイメージがあるので、それよりは幅が広い、けれども限定的、という感じでしょうか)

そこまで読んで、とても納得してしまいました。

ニッケルハルパを弾いている方なら、共感してくださる方がいらっしゃるのではないかと思いますが、♯や♭がやたらとついている音階って、音がめちゃめちゃ濁るんですよね。

これ、私は全部自分の技術不足だと思っていたのですが(それもあると思いますが)、中全音律の解説を読んで、「だからかー!!」と。

非常に納得しました。

基本的に、伝統曲は、「♯3つ、♭2つ」までしかない音階の曲がほとんどなので、この調律は合っているわけです。

反対に、音が濁るのは伝統曲ではないオリジナル曲や、現代の曲の場合になります。特にポップス曲は歌い手の方のキーに音階が合わせてあるので、ニッケルハルパだと演奏しにくいキーになっていることがよくあります。

(私は最近はポップス曲を弾く機会はほとんどありませんが、演奏活動を始めてすぐの頃は結構ありました。「伝統曲はやめて欲しい、お客さんの知っている曲だけ弾いてくれ」と言われることがあり、よく悶々としていました)

もちろん、単に私の練習不足というのももちろんあると思いますので、全部をチューニングのせいにはできませんが…

今後もしもそういう曲を弾く機会があったら、チューニングの話も視野に入れながら曲のキーを考えても良いのかなと思いました。

なんか、この辺が私が自分が「日本人だな」と思うところなのですが、「♯や♭が多い曲は弾けません」って言うのって、負け、みたいな気持ちありませんか…?(笑)

「指が大変だから、弾けないって言ってるんだろう」と思われそう、みたいな。

だから、なんとなく「♯や♭が多い曲はちょっと…」って言いにくかったのですが、これからは堂々と言っても良いのかなという気持ちになりました。

もちろん練習してどうにか音程を揃えられるようになるのも大事なんですけど、全部根性論でどうにかしようとしなくても良いんだな、と思いました。


…という、チューニングについての話でした。

チューニングの話も、突っ込んだ話は私もまだまだよくわからないんです。それでも、今回少しわかって良かったです。

このブログですが、私よりも専門的な知識をお持ちの方が読んでくださっている場合もあるので(お問い合わせフォームから、そういったメールをたまにいただいたりします。専門誌の記事の資料として参照して良いですか?とか。ありがたいです)、下手なことやいい加減なことは書けないと思いつつ…

一方で、私は私が知っていることしか書けないし、とりあえずニッケルハルパは、ある程度弾いたり聴いたりはしているつもりなので、私が感じていることや思っていることは、臆せずに書くぞ!という気持ちで今回書いてみました。

チューニングに関しては本当に人それぞれで、あまり気にしない人もいれば、すべての重音をばっちりキメてくる人もいます。

特に現代の奏者は後者のタイプが非常に多いので、そういう流れもあって、ニッケルハルパがクラシック音楽にも使われるようになってきていますね。

私自身は伝統曲を大切に、地道に弾いていきたいと思いますが。

チューニングは奥深く、私はまだまだ知らないことだらけです。

では、また。