ニッケルハルパをご紹介する際に、よく受ける質問のうちの一つがこちらです。
「初めての人でも弾けますか?」
似たようなものとして、「音楽経験が無くても弾けますか?」「楽譜が読めなくても弾けますか?」というのも訊かれます。
確かに気になりますよね。
私は、ニッケルハルパは初めて触れる人にとってとても「親しみやすい楽器」だと思っています。まず、誰でも音を出すことができます(音を出すこと自体が難しい楽器というのもありますが、ニッケルハルパはそうではないように感じます)。あとキーを見ながら押さえればちゃんと音を変えることができますし、キーの並びもわかりやすく順番に並んでいます。
また、スウェーデン民族音楽では曲を教える際に楽譜を使いません。なので、音楽の知識なども特に必要ありません(と私は思っています)。耳で聴いて、口ずさんだりして音を覚えます。耳で聴いて音がわからなくても、どのキーを押さえたらいいのか目で見て一音一音確認しながら曲を教わります。わからない音はその都度確認。楽譜が読めないという人でも全く問題ありません。楽譜が読める人も、楽譜を通さずに教わった方が曲の覚えが早い人が多いように思います。そして人伝えである利点として、教わる際にゆっくり何度も繰り返して一緒に弾くことができます。
不思議なもので、こうして一緒に何度も弾いているといつの間にか曲を覚えていたり、教えている側と教わっている側の呼吸やリズムが自然と合ってきます。教える側が言葉と手を尽くして全てをあれこれ説明しようとしなくても、教わる側は感覚的に色々なものをキャッチしているみたいです。しかも、教わる側はこれを無意識にやっていることが多いです。(私はニッケルハルパ教室の講師をするようになってから、このことに気がつきました。一緒に何度も繰り返し弾いていると、皆さんその間にどんどん上達していくんです)
そういう時に私は「人間って、自分が思っているよりもはるかに音楽的感性(キャッチする能力)が豊かなんだな~」と思います。これ、ブログだからなんか適当に良いことを書こうとして書いている訳ではなくて、本当にそう思うんです笑。それぐらい自然にあっけなく、皆さんハードルを飛び越えていきます。おそらく教えている側の弓を見たり、手や腕の感じを見たりして自然と真似することによって、技術的な課題もクリアしていたりするのでしょうね。
芸能界とか、メジャーデビューとか、プロミュージシャンとか、コンクールとか、そういうものを目にする機会が多いせいか、自分の音楽的感性に蓋をしている人が多い気がしています。本当は皆それぞれの感性を持っているのだから、あとは解放すれば良いだけな気がするんだけど…と思いつつ、でも解放して傷つくこともあるからなかなか出せない世の中ですよねー、とも思います。私もそうです。
ただ、もしもこのブログをお読みの方に私がニッケルハルパをお教えする機会があるのなら、私はその蓋を少しだけ外す手伝いがしたいと思っています。私がスウェーデン民族音楽とニッケルハルパに出逢った時に、そうしてもらったみたいに。
楽しいんです。心がふわっとします。
スウェーデン民族音楽は、誰もが楽しむことのできる音楽です。ニッケルハルパもそうです。それを楽しむのに、楽器の上手さや知識量、弾ける曲の数、他人の評価は関係ありません。スウェーデン民族音楽もニッケルハルパも、それを好きだと思う人の側にいつもあります。
レッスンでなくても、一緒に弾く人には私はなるべく素直な自分でいたいと思っています。つい強がりたくなるし、できないこともできるように見せかけたくなるし、カッコつけたくなるのですが、素直な音が多分相手にも聴いている人にも一番届くのですよね。そういう演奏が好きです。
今日もお読みいただき、ありがとうございます!