峰村茜のホームページへようこそ!どうぞごゆっくりご覧ください。

伝統音楽やポルスカについて(簡単に紹介)

/ ニッケルハルパ奏者

今回は初心というか、基本に立ち戻って、伝統音楽やポルスカについて、あらためて簡単にご紹介しきていきたいと思います。

以前のブログのまとめのようになりますが、参考にしていただけたら嬉しいです。

伝統音楽ーFolkmusik

私たちが「伝統音楽」や「民族音楽」と呼んでいるものは、スウェーデン語で「Folkmusik」(フォルク・ムズィーク)と呼ばれている音楽です。

(日本語の訳し方は、私はそこまで重要ではないかなと思っているので、どの訳し方でも良いかなと思っています)

以前の記事で扱った動画からの引用ですが、「Folkmusikという単語自体が使われるようになったのは、19世紀頃(ロマン主義の時代の頃)」だそうです。

以前の記事→「17分でわかるスウェーデンの伝統音楽」の動画の内容紹介②(歴史)

当時、工業化や近代化の波が押し寄せてきた際に、それ以前まで存在していた農村文化が失われてしまうことを危惧した人たちが、ローカルな歴史や文化を保存しようとする動きがありました。

その中に、「音楽」も含まれていて、「Folkmusik」という名前のもと、当時演奏されていた曲や歌が楽譜によって記録され、本になりました。

(そういった曲集や本のおかげで残されている曲もたくさんあります)

(この辺の歴史の話は、語り手の視点によってもまた少し変わってくるかもしれません)

ダンスの曲ーポルスカ

それ以前のFolkmusikの内容は、今で言う流行りのポップス曲のようなものから、結婚式やお葬式・伝統行事にまつわる楽曲、子守唄、家畜を呼ぶ歌、中世のバラッドまで、様々なタイプの曲が含まれていましたが、

なかでも数として圧倒的に多かったのが、ダンスの伴奏曲、ポルスカでした。

「ポルスカ」(polska)は、3拍子のダンス/曲です。

スウェーデンの各地にこのポルスカが伝わっており(ポロネーズ/メヌエットといった名前でも)、それぞれの地域ごとに微妙に異なるリズムで演奏され、踊られ、歌われてきました。

ポルスカの歴史についても、膨大な研究がされていて、私自身とても把握できるものではありませんが、「スウェーデンの伝統曲(Folkmusikの曲)と言えば、ポルスカ(polska)」と言って良いくらい、代表的なものとして認知されています。

(また、スウェーデン以外の近隣の国(ノルウェーなど)でも、同じようなダンス/曲が伝わっています)

ポルスカのダンスですが、これは「2人一組になって踊るダンス」です。

2人で歩いたりくるくるとまわったりします。(歩く時は1拍目と3拍目で足を踏み出します)

その2人一組のペアが全体として「円」を描くようにならんでいて、その円を反時計回りに進みながら歩いたり回転したりするので、イメージとしては日本の盆踊りとか、キャンプファイヤーのフォークダンス(ただしペアの相手を交換しないタイプのもの)のような感じでしょうか。

「歩くのか/回転するのか」のタイミングは、その2人にゆだねられているので、決まりはありません。行こうと思ったタイミングで回転し始めるし、そろそろやめようと思ったタイミングで歩きます。

なので、同じ空間内で歩いている人もいれば、まわっている人もいます。

一応「全体が円になっていて半時計まわりに進む」という全体の流れはありますが、「誰が前で誰が後ろ」とか、そういう隊列のような順番はありません。

そして、曲としてのポルスカも、このダンスのリズムを尊重しながら演奏されるので、踊っている人たちが歩く時に足を踏み出すのと同じ「1拍目と3拍目」で足踏みをしながら演奏します。もしくは、曲によっては1・2・3拍目すべてで足踏みしながら演奏することもあります。

このポルスカのダンス/曲が、村の様々なお祭り、お祝い事、結婚式などで踊られ・演奏されてきました。

おそらく、Folkmusikという言葉が使われ始めた頃までは、「それまでに村々で楽しまれてきた音楽全般」のことをFolkmusikと呼んでいたのだと思いますが、時代がくだり、その他の音楽(クラシック・ジャズ・ポップスなど)が入ってくるのに合わせて、この「ポルスカ」を中心とした「ダンス音楽」というのが、Folkmusikというジャンルの主軸として確立されてきたのだろうと私は解釈しています。

今では、Folkmusikというと、「昔からの伝統曲」だけではなく、「伝統曲/伝統音楽のフォーマットや演奏スタイルにのっとった新しい曲」のことも含んでおり(現代の人が作ったポルスカやワルツなど)、「Folkmusik」というのが1つの音楽ジャンルとしてとらえられ、楽しまれているかと思います。


という感じで、簡単にですが、伝統音楽やポルスカについてご紹介してみました。

ポルスカ以外にも、ワルツやショッティスなどのダンスもありますし、ダンスだけでなく、行進曲系(結婚行進曲・お祭りの最初に歩きながら演奏される曲)や、子守唄なども伝統音楽では演奏されたりします。

曲の演奏スタイルについても、もともと厳格な決まったかたちがあるものではなく、人々の間で伝わる過程で「守るべき(守りたい)リズムやスタイル」が確立されていったのと同時に、「自由さ」もかなり存在していますので、その辺のバランスを「それぞれの人が自分なりに楽しめる」ことが、伝統音楽の魅力の再発見につながるのかなという気がしています。