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アンドラステンマについて~解説・私の作り方~

/ ニッケルハルパ奏者

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スウェーデンの伝統音楽を演奏していると、「アンドラステンマ」という言葉をよく耳にするかもしれません。

「アンドラステンマ」は、いわゆるハーモニーとか、「ハモリのパート」のことです。

今回はこの「アンドラステンマ」についての簡単な解説と、私がステンマを作る時の方法などについてご紹介します。

アンドラステンマ(andra stämma)について

「アンドラステンマ(andra stämma)」というのは、英語にすると「second melody」とよく言われますが、いわゆるハーモニーとか、ハモリのパートのようなものです。

メロディ以外のパート、みたいな感じですね。

短く省略する場合は、「ステンマ(stämma)」と呼ばれています。

(例:「この曲は私がステンマやるね!」などと使う)

ちなみに、ステンマ(stämma)というのは色々な意味があるので、このandra stämma以外にも「ステンマ」と呼ばれる催しがあったり、チューニングすることもスウェーデン語では「ステンマ(動詞・原形)」と言います。どれもつづりは同じです。

アンドラステンマの例

さて、このアンドラステンマですが、たとえばこのようなものがあります。

  1. メロディの動きに合わせて、3度か5度の音を中心に作ったもの(tersstämmaと呼ばれるもの)
  2. 低い音でベースラインを中心に作ったもの
  3. メロディの動きとは違う動きのフレーズで作ったもの(高い音の裏メロとか)

ステンマ自体は自由なので、どんなものを作ってもいいのですが、一応解説として大まかに分類してみました。

これ以外にも、伴奏のような形態のものもあります。

実際には1~3(やその他の方法)を組み合わせて作ることが多いと思います。

それぞれについてみていきます。

1.tersstämma…最も一般的なスタイル(だと思う)

伝統音楽の演奏におけるステンマの形態として、最も一般的なのは、やはり1の「メロディの動きに合わせて3度か5度の音を中心に作ったステンマ」だと思います。

これは、スウェーデン語では通称「tersstämma(ターシュステンマ)」と呼ばれるものです。tersは「3度」という意味があります。

ちなみに、「3度」というのは音と音の間隔のことですが、ざっくり言うと「ドレミファソラシの並びの、一つ飛ばしの音」のような感じです。たとえば「ド」なら、3度違いの音は3度上が「ミ」、3度下が「ラ」。「レ」なら、3度上が「ファ」、3度下が「シ」になります。(基点の音から数えて3つ目の音)

また、5度というのは「三つ飛ばした音」という感じです。「ド」なら5度違いの音は5度上が「ソ」、5度下が「ファ」、です。(基点の音から数えて5つ目の音)

tersstämmaの場合、実際には「度数がいくつか」は問題ではなく(3度でも5度でも、コードによっては4度などでも良い)、「メロディの動きにおおかた合わせて作られているステンマ」というのが特徴的です。

メロディとともに上下したり、動きの粒がそろっているようなステンマですね。

もちろん、すべての音がぴったりとメロディの動きに沿っているわけではないことが多いのですが(たとえば「ステンマのすべての音がメロディの3度上」とかだと、ハーモニーとして逆に不自然になったり気持ち悪くなるそうです)、なんとなくメロディと一緒に動いているものはtersstämma、という風に私は考えています。

2.ベースラインのステンマ、3.メロディとは違う動きのステンマ

2の「低い音でベースラインを中心に作ったステンマ」というのはそのままなので、解説しなくてもイメージが湧くと思います。

メロディよりも低めの音を使って、ベースラインっぽく弾くタイプのステンマです。

穏やかな曲や、穏やかな雰囲気を出したい時、メロディを際立たせたい時などによく使います。

また、3の「メロディの動きとは違う動きのフレーズで作ったステンマ」は、いわゆる「裏メロ」のような感じです。

メロディのハモリとしてではなく、「メロディとは別のメロディ」を作ってしまうことですね。

たとえば、高い音でゆったりとした裏メロを作り、忙しいメロディの裏で、このゆったりとした旋律を奏でる、といったもののことです。

これは、メロディとステンマの旋律の違いや楽器の音色の違いをあえて聞かせたい場合や、パートごとにがらっと雰囲気を変えたい場合にtersstämmaと組み合わせて、使ったりします。

私の場合

私の場合も、一般的なスタイルにならって、1のtersstämmaの方式(3度か5度の音を中心にメロディのハモリを作る)をとることが多いです。

あまり意図的に「そうしよう」と思ってやっているわけではないのですが、作ると自然とそうなっていることが多いな、と思います。

作り方

私の作り方ですが、楽譜上で作るのではなく、まずは最初の音やとっかかりになる部分を3度か5度で思い浮かべて、そこから実際になんとなく弾いてみます。

そして、弾いてみたステンマのうち、上手くいかない部分だけを取り出して、そこだけ理論の助けを借りながら、より良さそうな音に変更する…ということが多いです。

とりあえず最初はフィーリングで弾いてみて、弾いてみたものを録音して、その録音に合わせて自分でメロディを弾いてみて、違和感があれば変える(その時に初めて理論的に考える)、ということを繰り返します。

思い浮かぶステンマはいくつかあったりするので、その中でも自分にしっくりくるものや、状況に応じて合うものを選んで使用します。

「状況に応じて」というのは、たとえば、3人以上で弾く場合は他の人の選んだコードに応じて3度か4度かを適宜変えるとか(変えられる範囲で)、シンプルなステンマが求められている状況ではシンプルに3度の音にしぼるとか、そういうことです。

一応私も、最初から理論的に考えて楽譜上でステンマを作ってみた時期はあったのですが、あまり上手くいかなかったんですよね。

それでだんだんと、この「なんとなく弾いてみて変だったから変える」方式になっていきました。この方が良いものができると思いました。

また、以前は「こういうステンマ」を作ろうとかなり強く思って作っていた時があったのですが、そう思いすぎると「頭でっかちなステンマ」になることがわかり、「(そのステンマを)いかに良く弾くか」まで心を配れないことに気がつきました。

ステンマは、「カッコよさげなもの」を作って終わりではなく、「どう弾くか」の方が重要だと私は思っています。

弾きこなせないような頭でっかちなステンマを作るよりは、身の丈に合ったものを「より良く弾く」方が良いなと思うようになりました。

そして、そういった自分に合ったステンマというのは、実際に弾いてみることで出てくることが多いので、「実際に弾いて作っていく」という作り方になったんです。

すべての音がきれいにはまっていなくていい

これは私が個人的に思っていることですが、ステンマの場合、すべての音がきれいにメロディとはまっている必要は無いと感じています。

と言っても、あまりにも不協和音だとちょっと…なので、さじ加減は難しいのですが。

私の場合、すべての音をきれいにぴたっとはめることよりも、優先していることがあるのです。

ステンマ自体の流れと、自分のしっくり具合

優先していることというのは、「ステンマ自体の流れ」と、それを弾いている時の「自分の中でのしっくり具合」です。

「ハモリ」という面でステンマを考えた場合、本当にメロディにぴたっとはまる音だけを追求すると、ステンマとしての流れが悪くなる時があるんですよね。

音が全体的に変に飛び飛びだったり、曲のキーの関係で高い音と低い音が行ったり来たりしてしまったり。

それはそれで「メロディがひきたつので良い」という考え方もあるので、こういうステンマが悪いとは私は思っていないのですが、もしも優先順位を選ぶとするなら、私は「メロディをひきたてることだけを考えて作ったもの」よりも、多少うねっていても「ステンマ自体の流れがあるステンマ」の方を選ぶだろう、と思います。

なぜという根拠は特に無く、「その方が伝統音楽的には自然な気がするから」というただそれだけなのですが…。

また、ステンマとしての流れに加えて、「ステンマを弾いている自分にとってのしっくり具合」というのも大事だと思います。

音としては正しい音なんだけど、なんとなく弾いていてしっくりこない…という場合があるんですよね。

そんな時は、なるべく、自分にとってしっくりくるもの(メロディと合わせた時にしっくりくるものとか)を優先して選んだ方が良いと思います。

それでも、他に良いものが思いつかなければとりあえずそのステンマで弾くと良いと思いますが、考え続けていると、ある時ふっとアイディアが思いついたり、他の人の演奏を見て気がついたりすることがあります。

あきらめさえしなければ、良いステンマは必ず作れるし、演奏できるようになります。

何度でも変えて良い

ステンマは、1回作って終わりではなく、私の中では「何度でも変えていって良いもの」です。

他の人に教わったステンマも、自分で作ったステンマも、そうです。

「この曲のステンマはいつもこれ」と決めても良いのですが、それをもとにして色々遊んだり、毎回変えたり、しっくりいかないところを自分なりに追究するとより楽しいのではないかと思います。

また、一緒に演奏する楽器によっても合うステンマの形態は違うし、一緒に演奏する相手との相性もあります。

誰かと合わせた時に自分のステンマが上手くいかなくても、せっかく作ったステンマを捨てる必要は無いし、相手によって毎回色々と変えることも全く変ではありません。

私自身、「即興的に合わせた方が良いな」と思う時もよくあるので、即興的にやる時もあります。

2人などの少人数の場合、2人で合わせた時に「ありえないコードの和音」や「ぶつかった音同士」になっても、それがかえってアクセントになっておもしろい時もあります。

ステンマには、正解があるようで、ありません。

自分で試しながら、何度でも変えながら、遊び心を持って挑戦してみてください。


以上、アンドラステンマについての簡単な解説と、私の作り方や優先順位についてご紹介しました。

もしよろしければ、参考にしてみてください。

お読みいただき、ありがとうございました。