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他の人の経験談:楽器や音楽の挫折経験と、そこから立ち直ったきっかけなど

/ ニッケルハルパ奏者

先日、「モチベーションが上がらない時の対処法」について書きました。

モチベーションが上がらない時の対処法

それに関連して、今回は私の元クラスメイト達の楽器の演奏(練習)での挫折経験や、音楽と関わることをやめてしまった経験、そして再び音楽を始めるようになったきっかけについて、私が留学していた時にインタビューした内容を、おおまかに書いてみたいと思います。

内容が内容なので、個人的な事情など詳しくは書けないのですが、「そういうこともあるんだな」「自分だけじゃないんだな」と思っていただけたら嬉しいです。

留学時代のインタビュー

その前に、インタビューについて少し説明します。

2018年~2019年、私はウップランドのToboという所に留学していました。

そこで、クラスメイト達にインタビューをしたことがありました。

インタビュー内容は、「音楽に関して、挫折した経験や嫌な思い出」そして「そこから立ち直った方法」などです。

これは当時、毎年春に行われていた生徒の個人プロジェクトにおいて、私がテーマとして選んだものでした。

個人プロジェクトでは、生徒は好きなテーマ(例:弓作り、作曲など)を選び、好きな方法で何かしらをリサーチしたり作ったりし、皆の前で発表+レポート提出をします。

インタビュー相手のクラスメイト達は8人ほど。国籍も年齢も性別もばらばらでした。

全員スウェーデンの伝統音楽を演奏しているというのが共通点です。

色々な音楽にふれている人も多かったので、インタビュー内容は「音楽ジャンルや、思い出の年代は問わず(子ども時代のことでもOK)」としました。

挫折した経験、音楽から離れた経験、嫌な思い出など

一応カテゴリで分けながら、箇条書きで書いていきますね。

曲・先生の教え方が合わなかった

・子どもの頃、やりたい曲をやらせてもらえなくて、音楽が嫌いになりかけた

・子どもの頃、先生の教え方が合わず、本当に苦痛だった

自分へのプレッシャーなど

・楽器一筋の人生だったが、音大生の頃に壁にぶつかり、相談できる相手もおらず、独断で楽器も音楽(クラシック)もやめてしまった。大学も進路も変えた。以降、数十年間楽器にさわれなかった

・音大生の頃、常に評価の目にさらされ、演奏することが怖い時期があった。審査員の前で1音だけ弾いて、それが自分の納得のいかない音だったので、泣きくずれたこともあった

生活の忙しさ

・10代の頃、勉強や学校生活が忙しくなって、楽器を弾く余裕がないと感じた

・結婚・子育てで忙しくなり、音楽から遠のいた

人間関係

・”一緒に弾く集まり”に来る人のうち、ほんの一部の人の、やり方やマナーが自分と合わず、イライラした。でも集まりには行きたいから、どうしようか悩んでいる

緊張

・知らない人の前で弾くのがとにかく緊張する

・弾きたいのに、人前に出ると緊張して頭の中が真っ白になってしまったことがある。その時の恐怖が今もある

他人との比較

・他人と比較して、「自分がこれをやる意味はないんじゃないか(他人の方がうまい)」と思ってしまう

原因不明のモチベーションの低下

・理由は全くわからないが、10代の頃、途端に楽器の練習が嫌になった

そこから立ち直った方法、きっかけ

そこから立ち直った方法や、きっかけについても聞いてみました。

こちらの内容は、少しだけ詳しめに書いてもさしつかえないと思うので、ちょっと詳しく書いています。

先生を変えた、やりたい曲をやるようになった

・教わる先生を変えた。

その先生は、生徒のやりたい曲を尊重してくれたので、音楽が再び好きになった。その先生は一時期スウェーデンに住んでいたことがあり、スウェーデンの伝統音楽を自分に教えてくれたのも、その先生だった。(→この話をしてくれた人は、スウェーデン以外の国から来た人でした)

人に誘われた/人から言われた言葉

・音楽から遠のいていたが、ある日知人に誘われてセッションやコンサートのイベントに行った。

コンサートやセッションを見るのは楽しかったけど、「皆の演奏がうますぎて自分にはついていけない」と思ったし、「知らない曲ばかりだ」と思った。

そんな中、楽器がすごく下手な老人の、すごくゆっくりな演奏を見た時に、「この曲、自分が若い頃演奏していた曲だ!」と気がついた。それから、実は他の曲も、自分が知っている曲がたくさん演奏されていることに気がついた。皆うまいので、弾くテンポが速くて、かつて自分が弾いていた曲と同じ曲だと気がついていないだけだった。

「自分も弾けるかも」と思ったら弾きたくなってきて、楽器を再開した。

・楽器にさわりたいけど、さわれない日々が続いた。それでも、引っ越し先には必ず楽器を持って行った。

そんなある日、人に頼まれて、ちょっとだけ演奏(歌の伴奏)をする機会があった。その時にすごく喜んでもらえて、嬉しかった。「またやろう」と誘われた。

それをきっかけに楽器にさわるようになった。

・10代の頃、忙しくなった時に「忙しい時こそ、息抜きに音楽が必要だよ。自分のペースでいいから続けてごらん」と先生に言われ、続けることができた。Toboの学校を自分にすすめてくれたのも、その先生だった。

違うジャンルの音楽にふれた

・違うジャンルの音楽を知り、「こういう世界があるのだ」と感じ、再び楽器がやりたくなった(その時ふれた音楽は、各国の伝統音楽/民族音楽など)。

そうやって、それまでとは違うジャンルの音楽に挑戦しているうちにスウェーデンの伝統音楽にも出会った。

知人の知人に、スウェーデン人のフィドル奏者がいたので、プライベートレッスンで来てもらって曲をたくさん教わり、楽しいと思った。

自分が目指すものを目指した

・音大生の時、評価が厳しくてきつい時もあったけど、自分が目指すもの(楽器の先生)に向かって、できること(アシスタントの仕事)をしていったら、進路がひらけていった。

他人の評価も大事だけど、「自分にとって必要なことを選択していったらいいのだ」と思った。

その時の自分の経験があるから、今は自分の生徒が何を選択しても(チャレンジする/チャレンジしないどちらの選択も)応援したいと思っている。(→この人は今は楽器の先生をしています)

具体的な対処法を考えた

・緊張することへの恐怖に対して、「緊張したら、深呼吸をする」「失敗したら、曲をまた最初からやり直せばOK」など、自分の中でのルールや具体的な対処法を考え、実行するようになったら、本番に対して少し気が楽になった。

・”一緒に弾く集まり”でのマナーに関して、他の人に相談しようと考えている。他の人と、話しあってみようと思う。

・「他人との比較」はすぐにはやめられないと思うけど、比較しているのを自覚したら、「一旦考えるのをやめる」というように試みている。他の人と同じペースで上達する必要はない。

他の人の経験を聞くと楽になる

聞いた話を、箇条書きで簡単に書いてみました。

状況は多少違っていても、似たような経験をしている人は多いのではないかと思います。

他の人のこういう話を聞くと楽になったり、参考になることが多いのではないかなと感じています。

そういう理由で、今回このテーマをとり上げてみました。

ここでは個人的な事情などは書かないようにしたので、実際の話よりもかなり端折ってしまいましたが、

話してくれた皆は色々な経験をしていて、普段の様子からはそれらがほとんど見えてこないものなのだな、と私は感じました。

こういう、話しにくい話をインタビューさせてもらったことに対して、クラスメイト達にとても感謝しています。


以上、留学時代のクラスメイトへのインタビューから、楽器や音楽の挫折経験と、そこから立ち直ったきっかけなどについて書いてみました。

私は普段こういう話を聞く機会があまりないのですが、こういう話題を話したり聞いたりする機会というのは、大切だと思います。

何かあった時に、自分も相談しやすくなるからです。

インタビューさせてくれた皆の中には、「誰にも相談せずに音楽から離れたことをとても後悔している」とか、逆に「周りの人のおかげで、細々とでも続けてこれたことを感謝している」という意見がありました。

再び楽器にふれたきっかけとして、「人」を挙げている人は多かったので、自分が何か行動を起こすうえで、人の影響は大きいのだなとあらためて感じました。

何かの参考になれば幸いです。

お読みいただき、ありがとうございました。