今回は、スラーの音をきれいに弾くために、私が考えたこと、試した練習方法(意識の仕方)について書きます。
私は、自分の録音や録画を見ていた時に、自分で思っているよりも、スラーの音(特に、スラーでつなげた方の後半の音)を雑で汚く弾いてしまっていることに気がつきました。
そこで、その原因と、どうしたらいいかを考えてみた、という内容です。
16分音符を弾く時のボーイング
話が少し飛びますが、スウェーデンの曲の場合、16分音符の「タカタカ(16分音符4つ)」の音を弾く時、ボーイングパターンとしてはこのように弾くことが多いです。
最初の2つの音を一回のボーイングで(スラーにして)弾いて、後半2つの音は1音ごとに弓を返して発音します。
「ター・タ・カ」という感じです。(留学先の先生には、「Tia・ta・ta(ティア・タ・タ)」と言われたりしていました)
このパターンは非常によく見かけますが、特に
- 16-delspolska(16分音符ポルスカ)
- 16分音符のリズムがよく出てくるショッティス(3連符系のリズムよりも16分音符系のリズムがよく出てくるショッティス)
などによく出てきます。
※16-delspolskaとショッティスについてはこちらをご覧ください↓
16-delspolska、8-delspolska、Triolpolskaについて(その1)リズムによる分類/ダンスの分類の違いと、それぞれの解説
16-delspolska、8-delspolska、Triolpolskaについて(その2)16-delspolskaの音源/動画
また、他のタイプの曲にも、もちろん出てくることがあります。
スラーの音がうまく弾けていないことに気がついた
私はこの16分音符4つの弾き方が結構苦手でした。
というか、苦手だということにしばらく気がついていませんでした。
ある時、自分の録音/録画を聴いたり見たりしていて気づいたのですが、
私は、スラーでつなげた音、つまり16分音符4つのうち最初から2番目の音がいつも雑になってしまったり、汚く弾いてしまっていたのです。
自分で弾いている分には全く気がついていなかったので、結構衝撃的でした。
さらに、色々な曲を弾きながらよくよく意識してみたら、16分音符に限らず「スラーでつなげた音の、つなげた方の音(後半の音)が汚い」ということが、8分音符などでも起きていました。
(8分音符のスラーは、たとえばワルツなどで特によく出てきます)
原因を考えた
そこで、何が原因なのかを考えました。
私が思いついた主な原因は以下の2つです。
①弓の問題(弓に圧力をかけすぎている・スラーの時に圧力をかけっぱなしにしすぎている)
②キーの問題(左手の指に力が入り、強く押しすぎている・キーを上げるタイミングが自分の思うタイミングよりもずれている)
②の方は自覚があり、スラーに限らず、普段から「キーを上げる指に力を入れすぎているな」とか「タイミングが曖昧になっているな」というのを感じていました。
ですので、②は引き続き意識し続けることとし、今回は、特に自覚のなかった①に着目することにしました。
弓の圧力の調整
スラーに関わらず、ニッケルハルパは弓の圧力の調整とそのタイミングが重要です。
といっても、奏者や演奏曲によってやり方が結構違うので、「こうすればいい」とか「こうすべき」という正解があるようでない、というのが難しいところですが。
(もしくは、正解がたくさんあるから難しい、とも言えますが)
一つ言えるのは、「圧力をかけっぱなし」「圧力を抜きっぱなし」というのはどちらもダメ、ということ。
これはどの奏者の演奏にも共通していると思います。
圧力をかけたり抜いたりの、調整の仕方がカギになります。
私の場合、手をかたくすることで、そのかたさを使って「力」でもって圧力をかけようとしてしまう(しかもかけ続けてしまう)癖があるかなと思います。
おそらく理想は、手をやわらかくして弓を持ち、手のやわらかい動きと指先の使い方を工夫すること、そして弦からの反発をうまく感じることで、力任せではなく、手と指の動きによる自然な圧力がかかると良いのかなと思っています。
スラーでつなげた音に関しても、おそらく私は圧力をかけすぎていて、ぐっと押さえつけた音になってしまうので、雑であったり汚く感じる音になってしまうのかな、と思いました。
(他にも、そもそも「圧力のかけ方の問題」などもあるかと思いますが、今回は「抜く」ことをメインに考えてみました)
スラーの音の部分で圧力を抜く
そこで、スラーの音を弾く際に、あえてそこで圧力を「抜く」ことを意識して練習してみました。
スラーでつながる部分の、後半の音をあえて「抜いて」弾きます。
「タータカ」の「ー」の伸ばし部分で強く押して弾くのではなく、「タァタカ」という感じです。
ちょっと音の強弱も弱めるような。
人によっては、これは当たり前のように無意識にやっていることかもしれませんが、私は今回意識してそう弾いてみました。
試してみて思ったこと
すると、スラーが入る音のフレーズ全体に抑揚が生まれて、演奏がより良くなるように思いました。
また、「抜く」というのを意識すると結果的にスラーの後半の音を大切に弾くような意識になるので、「リズムがより安定する」と感じました。
「より安定する」と感じてはじめて気がついたのですが、自分では気をつけているつもりでも、私は16分音符で急いで弾いてしまったり、リズムが曖昧なまま弾いていたようです。
こちらも無意識だったので、今回の方法を試してみて「なるほど、私はそうなっているのか」と思いました。
圧力をかけすぎていたこと、そしてリズムが曖昧だったことが、雑に聴こえる原因の一部だったのかもしれません。
他にも要因はあるかもしれませんが、1つ1つ思い当たることを試しながら、より良い音色を目指していきたいと思います。
また、さきほども少し書きましたが、圧力の調整に関しては、「抜き方」だけでなく、「かけ方」も大切だと感じています。
おそらくですが、圧力をかけるのと抜くのは、最終的には「一連の動き」になるのだと思うからです。
つまり、圧力の「かけ方」がより自然になると、あえて「抜こう抜こう」と思わなくても、流れで自然と圧力を抜く(弱める)ことができるようになるし、
そうすると次の音でまた圧力をかけることも、流れの中で自然にできるようになる、と考えています。
引き続き、色々と試していきたいと思います。
以上、スラーの音をきれいに弾くために、私が考えたこと・試したことについて書きました。
同じことでお悩みの方がもしいらっしゃいましたら、ぜひ参考にしてみてください。
お読みいただき、ありがとうございました。