Bosse Larssonの追悼コンサートの和訳⑬です。
前回までのものはこちら↓
動画
前回の続きから(1:30:02~)の再生です。
(Bengt):ではプログラムの次の演奏に入ります。
次はデュオの演奏です。
Brodd Leif Andersson(ブロッド・レイフ・アンダーション)とAnna-Lena Berglund(アンナ・レーナ・ベリィルンド)です。
(Brodd Leif):私はBosseを小さい頃から知っているわけではありません。
ウップランドの演奏家たちと知り合うようになったのは、1993年の夏のことでした。
その時、私はRobert(ローベルト※和訳①・和訳②)、Annika Ekstav(アンニカ・エークスターヴ※次回の和訳で演奏する人)、Erika Lindgren(エリーカ・リンドグレーン※和訳⑤)と一緒に、ロシアへ、フォークダンスの演奏としてついていきました。
スウェーデンに戻ってきた後、私はこちらのSpelmansstämma(スペルマンス・ステンマ※演奏とダンスの参加型イベントのようなもの)に招かれて、そこでウップランドのあらゆる演奏家たちに会い、それ以来、彼らと連絡を取り合ってきました。
Bosse Larssonもそのうちの1人です。
私は特別なエピソードは特に思い浮かばないのですが、Stämma(ステンマ※上記のイベント)などでBosseに会うのはとても楽しかったです。
一緒に演奏するのも、話をするのも。
Björklinge(ビョルクリンゲ※Bosseの住んでいた地域)の家にもお邪魔し、Barbro(バルブロ※Bosseの妻)やRobert(※Bosseの息子)にも挨拶をしました。
私自身、本当に居心地が良く、(彼と一緒の時間を)本当に楽しみました。とても楽しかったです。
Bosseは偉大な演奏家であるだけでなく、同じくらい、人としても器の大きな人でした。
とても寛容で、そして他の人のことを思いやる人でした。皆が参加できる(楽しめる)ように、という。
○○(※聴き取れませんでした)な態度というのではなく、彼はとても寛容でした。
私は彼を尊敬していて、彼と知り合い、一緒に演奏したりできるのを光栄に思っていました。
さて、私たちは、Enviken(エーンヴィーケン※ダーラナ地方の地名)で伝わる曲をいくつか演奏したいと思います。
これらの曲は、Viksta-Lasseをめぐる伝統とは関わりは無く、Bosseが演奏していた曲というわけでもありませんが、ちょっと説明させてください。
今から演奏する2曲は、どちらもEnvikenのKlockarnäs(クロッカルネース※地名)出身の演奏家で靴職人の、Vilhelm Hedlund(ヴィルヘルム・ヘードルンド)が伝えた曲です。
彼はとても大きな「曲の宝庫」だった、と言っても良いでしょう。
たくさんの曲を後世に伝えました。
もしもViksta-LasseやBosseが弾いていた曲を、彼らが弾いていなかったとしたら…と思います。
(※たくさんの曲を後世に伝えた、という意味で、Vilhelm HedlundとViksta-Lasse・Bosseは似ている、ということ)
私はBosseとVilhelm Hedlundはちょうど同じような性格の持ち主だったのではないか、と思います。
Vilhelm Hedlundについて書かれていることや、語り伝えられている内容をみてみると、彼はとても親切で、ユーモアがあって、愉快な人物だったそうです。
そして素晴らしい演奏家でした。
ということで、Envikenで伝わる曲を2曲演奏します。
最初の曲は、Vilhelm Hedlundの言うことを信じるなら、この曲は「世界で一番古い曲」で、聖書時代(聖書の時代)のものなのだそうです。
曲は「Jerusalems skomakare(エルサレムの靴職人)」という名前で呼ばれています。
Vilhelm Hedlundによれば、この靴職人はこの曲を自分で歌いながら、エルサレムのシブロンという川にかけられた小さな橋(板を渡したような橋)の上を、靴職人の仕事道具を落とさないようにしながら、不安な気持ちでバランスをとりながら渡ろうとした、と言われています。
では、Vilhelm Hedlund伝承のポルスカ「Jerusalems skomakare」です。
間違えました、ポルスカではなくて、gånglåt(ゴングロート※歩きながら弾く曲)でした。
(笑いが起きる)
※この靴職人は、日本語だと「さまよえるユダヤ人」と呼ばれている人物のようです→Wikipedia「さまよえるユダヤ人」
※「シブロン」のところは川の名前で合っているか微妙なのですが、とりあえず聴こえた通りで書きました。
⑲(1:34:25~)Brodd LeifとAnna-Lenaの演奏1:「Jerusalems skomakare(エルサレムの靴職人)」efter Vilhelm Hedlund, från Enviken(エンヴィーケンのヴィルヘルム・ヘードルンド伝承)
(1:36:37~)
(Brodd Leif):さて、次こそはポルスカを演奏します。
今、演奏中に1つ、小さなエピソードを思い出しました。
BjörklingeでBosseやBarbro、Robertと会った日のうちのある日のことです。
その日は(Bosseの家に)泊まっていったんです。
私たちはよく週末に会っていましたから。
で、泊まったある日のこと、翌朝目覚める際、とても「王様のような贅沢な起こし方」をしてもらったんです。
その朝、寝室のドアが開けられ、そのドアからBosse LarssonがÄppelbo gånglåt(エッペルボー・ゴングロート※有名な曲)をフィドルで弾きながら行進して入ってきたことで、私は目覚めました。
(笑いが起きる)
そしてRobertがBosseの後ろから、ウェイターのように(※ここ訳違うかもですが)、黄金のトレイに、本物のBjörklingeの朝食(豪華な朝食)を乗せて、やってきました。
カプセル剤はありませんでしたけど。
(笑いが起きる※和訳⑥のカプセルの話参照)
それがちょっとした思い出になっています。
さて、ではVilhelm Hedlund伝承のポルスカを演奏します。
この曲はヘルシングランド地方のポルスカで「Norralapolskan(ノッラーラ・ポルスカン※Norralaで伝わるポルスカ)」と呼ばれている曲のバリエーションの1つになります。
ただし、こちらは短調(moll)の曲になりますので、「Mollalapolskan(モッラーラ・ポルスカン)」と呼んでいます。
(少し笑いが起きる)
(※ヘルシングランドの方は、曲が長調のようです。YouTube→「Norrala polska」の演奏、楽譜→Folkwikiの「Norralapolskan」のページ)
⑳(1:38:16~)Brodd LeifとAnna-Lenaの演奏2:“Mollala polskan” efter Vilhelm Hedlund, från Enviken(ヴィルヘルム・ヘードルンド伝承のポルスカ“モッラーラ・ポルスカン”)
(Bengt):ありがとうございました。
考えてみてください、私たちは今、世界で「絶対に」一番古い曲を聴けたんですよ。
幸運でした。
(続きはまた明日)
1曲目も2曲目もすごく雰囲気のある曲でした。
1曲目は、これを歌いながら橋を渡るって、かなり難しいだろうなと思いましたが、この危なげな感じが曲としてはとても良いなと思いました。
2曲目の方も、長調バージョンも含めて初めて聴いたのですが(上の※のYouTubeのリンクから聴けます)、長調か短調かでかなり雰囲気が違いました。
明日の分もお楽しみに。
お読みいただき、ありがとうございました。