Magdalena ErikssonとIsak Erikssonのコンサートの和訳⑤です。
今回でこのコンサートの和訳は完結です。
①~④はこちら↓
Magdalena Eriksson & Isak Eriksson(Boda, 2021)のコンサート和訳①
Magdalena Eriksson & Isak Eriksson(Boda, 2021)のコンサート和訳②
Magdalena Eriksson & Isak Eriksson(Boda, 2021)のコンサート和訳③
Magdalena Eriksson & Isak Eriksson(Boda, 2021)のコンサート和訳④
動画
前回の終わりの曲部分から再生にしています(その後のMCでこの曲の話題が出ているため)
⑭(54:04~)Skrömtpolskan(スクルムトゥポルスカン), efter Valfrid Rönnlund
※skrömtは、「恐ろしい/超自然的な/おばけの/魔法の」等の意味があります。
(55:55~)
Isak:(Valfridの息子の)ErikはMora(モーラ※地名)で開かれるZornmärket(ソーンメルケ※とても有名な、演奏家のコンテストのようなもの)に参加することになっていました。
彼は、父から受け継いだこの曲を演奏しました。
すると、Jan Ling(ヤーン・リング※音楽の研究者)がやってきてこう言ったそうです。
「そうですね。Ångermanlandでも伝統曲(古い曲)があるのでしたね」と。
(笑いが起きる)
Magdalena:そして、私の父はAnders Eriksson(アンダーシュ・エーリクソン)と言いますが、彼もちょうど1週間前にここ(Boda Gammelgård)で演奏しました。
Urban Andersson(ウルバン・アンダーション)、Håkan Olsson(ホーキャン・オールソン)、Roger Tallroth(ローゲル・タルロート)と一緒に。
私は彼らとともに育ち、人生まるごとがstämveckan(ステムヴェッカ※)でした。
(※stämvecka(stämmovecka)…ステンマ・ウィーク。7月のはじめ頃、ヘルシングランド地方~ダーラナ地方にかけて数々のステンマ(伝統音楽とダンスのイベント)が連日各地で開かれるので、そのあたりの1週間~10日間くらいのことをこのように言うみたいです。ステンマが集中している期間)
ですので私は、そういう沼の中からやってきた、と言えますかね。
そんな私がずっと、演奏してきた曲があります。1曲…いえ、2曲ですね。
その1つが、たった今演奏した曲(Skrömtpolskan)です。(今の演奏とは)少し違う解釈でしたが、Håkan Olssonから教わったものです。
そして、今から演奏する曲が、Erik Rönnlund、Valfridの息子さんが書いた曲です。
この曲はもしかしたら、28週目(※1年の中の28週目)に書かれたものかもしれないな、と思わせる曲なんです。
60年代半ばの、stämveckanの後に。
どうでしょうか、(聴きながら)ぜひ考えてみてください。
(※「28週目」という言い方について…スウェーデンでは日付を言う代わりに、週の番号をとって「○○週目(vecka○○)」という言い方をします。これは1月1日の週から順番に1、2、3…の番号が週に振ってあって、カレンダーや手帳にも「vecka 1」「vecka 2」…と書いてあるので、それを使っています。ここでは、28週目というのは「stämveckanの後」という意味で言われているみたいです)
⑮(57:14~)Eriks A-durpolska, av Erik Rönnlund(エリックのAメジャーのポルスカ、エリック・ルンルンド作曲)
(1:00:23~)
Magdalena:60年代のstämveckaという感じ、しましたか?
(※たぶんお客さんの反応が少し薄い)
微妙ですかね。まあstämveckaではないかもしれませんが、そんな風に夢見ることはできますよね。
そしてもう1つ、夢見ることというのは、いくらでも演奏をし続けられることです。毎日、いつでも…
でも残念ながら、そうではありませんね。
このコンサートも終わりが近づいています。
…ということで、ではここで、何を演奏しましょうか、Isak Eriksson?
Isak:…次は、私たちの、最後の曲を、演奏します。
(笑いが起きる)
Magdalena:最後の歌です~♪(と何かの歌の一節を歌う)
(沈黙)
Isak:うん…。
(笑いが起きる)
Erik Rönnlund、Valfridの息子さんですが、彼は1950年代に、Härnösand(ヘルヌサンド※地名)で開かれたSpelmansstämma(シュペールマンス・ステンマ※ステンマのこと。伝統音楽とダンスのイベント)のために曲を作りました。
Avskedsmarsch(別れの行進曲)で、「Avskedslåten(アーヴフェーズローテン、別れの曲)」と呼ばれています。
この曲は、彼の初めての、そして彼の最も素晴らしい、作曲だと言われています。
お聴きくださり、ありがとうございました。
Magdalena:そしてもちろん、Boda hembygdsföreningに感謝申し上げます。
この難しい時期(※コロナのこと)に伝統音楽を生き生きとしたものにしてくれた、素晴らしい功績について。
もちろん(コロナ以外の)通常の時にも、彼らは素晴らしい仕事をしてきてくれましたが。
どうぞ、Gunnar BrandinをはじめとするBoda hembygdsföreningの皆さんに、素晴らしい大きな拍手をお願いいたします。
(拍手)
そしてまた、配信の皆さまからの拍手も聞きたいです。
(耳に手を当てる)
素晴らしいですね。
では、「Avskedslåten(別れの曲)」です。
⑯(1:02:13~)Avskedslåten av Erik Rönnlund(別れの曲、エリック・ルンルンド作曲)
(1:04:33~)
Magdalena:もう1曲聴きたいですか?
良かった、私たちも演奏したいと思っているんです。Hurra!
ではアンコールを演奏する前に、あらためまして、ありがとうございました。
また、私たち、8月14日にRö Folkets hus(※という所)でCDをリリースします。(※=リリースコンサートをする)
そしてその前に、アーノルショー(※地名とつづりわからず)で行われるstämma(ステンマ※伝統音楽とダンスのイベント)で、ダンスの演奏をします。
そちらにも皆さんぜひ来るべきです。なぜなら、これは1年(1年分の)のお祭りになりますから、このBodaでの先週の金曜日以来の。
誰も注意しには来ませんからね、私がどれだけ涙を流し…流す…落とし……泣いても。
ではさようなら(笑)
ではアンコールの曲「Midsommarhälsningen(夏至の挨拶)」、Erik Rönnlundの息子さんのAnders Rönnlundが書いた曲を演奏します。
(Isakがマイクをとる)
…私何か間違えたこと言ったみたい。
Isak:もしも今、彼ら親族(Rönnlundさんたち)が見ていたら、きっと頭を振っていたことでしょう。
(Magdalenaが「やっちゃった…」というジェスチャーをする)
なぜなら、AndersはErikの兄弟の息子さんだからです。
(笑いが起きる)
⑰(1:06:20~)アンコール:Midsommarhälsningen av Anders Rönnlund(夏至の挨拶、アンダーシュ・ルンルンド作曲)
※弾き始めた後で「チューニングが合っていない」と弾きなおします。上の()の時間は弾きなおした後の時間にしています。
※映像が一部飛んでいるみたいです。
(演奏の後)
Magdalena:ありがとうございました。皆さんの前で演奏できるのは素晴らしい経験でした。配信でご覧の皆さんもありがとうございました。
(終わり)
以上でこのコンサートの訳は終わりです。
最後まで、2人の会話の微妙にかみ合っていない感じがおもしろかったです(笑)
とても楽しいコンサートでした。
Ångermanlandの曲は全然知らなかったのですが、今回聴いてみて、MCでも話題に出てきていましたが隣のJämtland(イェムトランド地方)の曲と似ている雰囲気の曲が多いのかな、という印象を受けました。
Ångermanlandの曲や演奏家のことも知ることができたし、演奏しているお二人のことを好きになることができたコンサートでした。
また色々聴いてみたいと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。