峰村茜のホームページへようこそ!どうぞごゆっくりご覧ください。

「Väsen Duo i Bror Hjorths Hus」(2021)コンサートの日本語訳④

/ ニッケルハルパ奏者

Väsen Duoのコンサートの日本語訳④です。

①~③はこちら↓

「Väsen Duo i Bror Hjorths Hus」(2021)コンサートの日本語訳①

「Väsen Duo i Bror Hjorths Hus」(2021)コンサートの日本語訳②

「Väsen Duo i Bror Hjorths Hus」(2021)コンサートの日本語訳③

動画

前回の続きから(38:24~)再生します。

(前回の曲)

⑥「Andakten」 av Eric Sahlström

⑦「Alla ensammas lilla vals」 av Mikael Marin

⑧「Polska efter Smultrongärds-Ida」


(38:24~)

(Olov):ありがとうございます。

シルベルバスハルパのレパートリーにあたる古い曲を、もう少し続けたいと思います。

もう1曲、Eric Sahlströmがシルベルバスハルパで弾いていた(のを私が聞いていた)ポルスカを演奏します。

「Polska efter Svedmark(スヴェードマルク伝承のポルスカ)」です。

(Micke):Svedmarkは「Spel-Gustav(スペール・グスタヴ)」と呼ばれていたんですよね。

(Olov):Spel-Gustav、Svedmark、彼はTierp(ティーエルプ)の郊外に住んでいました。

彼はダンスの演奏において「最も素晴らしいリズム感を持っている演奏家」という風に思われていました。

(Micke):彼以外にも周りにはたくさんの演奏家がいたことでしょうから、きっと彼は本当に、「一番」だったんでしょうね。

(Olov):とっても、素晴らしかったのでしょう。

(2人で笑う)

(Olov):彼は依頼を受け、Tierpのあたり色々なところでダンスの演奏をしていました。

それは、そのあたりに住んでいた別の演奏家たちにとっては、必ずしも喜ばしい状況ではありませんでした。

彼が依頼されて行った先の村に、もともと住んでいた演奏家たちにとっては。

その依頼はその演奏家たちが受けたかった(演奏したかった)はずですから。

(Micke):「嫉妬」ですよね、おそらく。

(Olov):嫉妬があったでしょうね。

私たち、ある本を読んでいたのですが、その中でSpel-Gustavについての記述がありました。

その本というのは『Uppländske spelmän under 4 århundraden』です。

その本に載っていたのですが、Spel-Gustav、彼はある日Munga(ムンガ※地名)での演奏依頼を受け、Mungaへ行き、ダンスの演奏をしていました。

たくさんの人が踊っていて、良いテンポですすんでいた(盛り上がっていた)そうです。

そこへ、…彼はなんて名前だっけ…Jan-Petter(ヤーン・ペッテル)!(笑)

(Micke)…そうだ、Jan-Petter!(笑)

Mungaの人ね。

彼はSpel-Gustavの演奏(Spel-Gustavが演奏するのを)を良いと思わなかったんですよね。

(Olov):彼は良いと思わなかったんですね。

彼が演奏したかったんです。

ダンス会場の部屋のドアは開けっ放しになっていたそうなのですが、Jan-Petterはそこへ行き、ドアの開いているところの真ん中に立ち、「糸(tråd)」を持ち、手でピーンと張らせて、それを噛みながら同時に呪文を唱えたそうです。

そして目はSpel-Gustavをじっと睨んだまま、Spel-Gustavのニッケルハルパのすべての弦が切れるまで…。

(Micke):ワオ。

(Olov):これ、本当にすごい(素晴らしい、とてつもない)ですよね。

(Micke):それ(※糸を噛んで呪文で楽器の弦を切ること)こそ「手に入れたい知識(できるようになりたいこと)」の1つかもしれません。

(2人で笑う)

もし音大でその技術を教えるなら、5ポイント(単位)の講義になりますね。

(笑いが起きる)

たとえば単発の講義で。

(Olov):うん…私、申し込みます。

(笑いが起きる)

(Micke):私はむしろ、Olovは実験に使われるウサギの方になるのではと思いましたが。

(※↑糸と呪文を操る方ではなくて、「演奏して弦を切られてしまう方の人」の実験台役かと思った、ということ)

(Olov笑う)

でもそのシルベルバスハルパは結構古いですよね。

その楽器にはそういうことは起きていませんか?

(Olov):えっと、この楽器は…だいたい100年くらいのものになりますね。

弦のうち何本かもきっと100年ものだと思います(笑)。

私は全部の弦を交換してはいませんから。

(Micke):その楽器はTierpには行っていない?(笑)

(Olov):Mungaには行っていません。

(Micke):あ、Mungaね。

※「Spel-Gustav」は本(『Uppländske~』の本)の中だと「Spel-Gustaf」と書かれていますが、2人は「v」で言っていると思うので、一応「Gustav」表記にしています。どちらも良いと思いますが。

「spel」というのは「play(弾く)」の意味で、演奏家のあだ名でよく使われる単語です。

⑨(41:09~)「Polska efter Svedmark(スヴェードマルク伝承のポルスカ)」

(43:41~)

Mickeがお客さんの後ろを指さす。

(Micke):あそこのドアのところ。ドアのところに立って、糸を噛んでたよ。

(Olov):あ、いた?本当に?!

(笑いが起きる)

だとしたらきっと噛むのを間違えたんだよ、何も起きなかったよ。

(Micke):いや、彼、もう歯が無かったのかもね。

(笑いが起きる)

(Olov):…さて、次の曲は私が作った曲「Dis(もや)」です。

今年の春の初め頃に作りました。

朝で、外にはもやがかかっていました。

霧と、もやがかかっている。

その時にこの曲を思いつきました。

この曲は私たちのCDアルバムの1曲目に収録されている曲です。アルバムは7月の初めにできました。

(Micke):はい、これはね…ええ、良いと思いますよ。

(笑いが起きる)

(Olov):アルバム名は「Väsen Duo」、今日演奏しました曲はすべてそのアルバムに収録されていると思います。

コンサートの後、そこのホワイエでお買い求めいただけます。

(Micke):ちょっとおもしろいなと思ったのが、このCDのイタリア語版のメディア(批評)の記事を見た時に…まあ私はイタリア語は読めませんが…1曲目のタイトルが「Dif」って書いてあったんですね。

これ、間違いですね。

(Olov):それは間違いですね。

(Micke):ただ、これも良い名前だなと思ったんですよね(笑)「Dif」。

(Olov):「Dif」ね(笑)

(2人で笑う)

⑩(45:02~)「Dis(もや/朝もや)」 av Olov Johansson

続きはまた明日。


以上、「Väsen Duo」のコンサートの日本語訳④をお届けしました。

今回もおもしろかったですね。

SvedmarkのJan-Petterの話もおもしろいし、「嫉妬」ってやっぱりどこにでもあるんだなと思います。

「Dis」の曲中に、会場の外が少し映りました。

このコンサート、動画のタイトルの写真に「Utomhuskonsert(屋外コンサート)」と書いてあるので、おそらく本当は外でやる予定だったのだと思います。

Bror Hjorths Husの庭のあたりのところで。

でも天気が悪くて室内になったのかなと思います。外の天気を見ても、なんとなくちょっと天気が悪そうですよね。

こういう天気の日に、室内でコンサートを聴くのもなかなか良いかもしれません。

お読みいただき、ありがとうございました。