峰村茜のホームページへようこそ!どうぞごゆっくりご覧ください。

「Väsen Duo i Bror Hjorths Hus」(2021)コンサートの日本語訳⑥

/ ニッケルハルパ奏者

「Väsen Duo」コンサートの日本語訳⑥です。

今日で最後までいきます。

①~⑤はこちら↓

「Väsen Duo i Bror Hjorths Hus」(2021)コンサートの日本語訳①

「Väsen Duo i Bror Hjorths Hus」(2021)コンサートの日本語訳②

「Väsen Duo i Bror Hjorths Hus」(2021)のコンサート日本語訳③

「Väsen Duo i Bror Hjorths Hus」(2021)コンサートの日本語訳④

「Väsen Duo i Bror Hjorths Hus」(2021)コンサートの日本語訳⑤

動画

前回の続きから(58:08~)再生します。

コンサートの最後の演奏曲の紹介MCからです。

曲を伝えた「Car Herman Erlandsson」という演奏家についての話になっています。

(前回の話のあらすじ)→Car Herman Erlandssonは旅をする一族(ロマ)の生まれで、銅鍋を直したり、馬の去勢手術の仕事などをしながら、ウップランド地方の各地をまわって生活をしていました。

(Olov):この先の話は私がUNT(Upsala Nya Tidningというローカル新聞)の古い記事で読んだものなのですが…。

Erlandssonは、ある馬商人(馬の売買をする人)と一緒に、仕事をしていました。

朝になり(仕事を終えて)、彼ら(馬商人とErlandsson)は馬商人の家に行き、ごはんを食べ、

おそらくかなりの量のお酒を飲んだ…

(Micke):そうだと思います(※「お酒をたくさん飲んだだろう」の意味)。

(Olov):そして町に出て、おそらくSvartbäcken(スヴァットベッケン※ウプサラの地区の1つ)のあたりへ行き、町の中心部へ行き、Grindstugan (グリンドストューガン※おそらく地区名か建物名など)のあたりに来た時、

突然、馬商人がErlandssonに対して怒ってきた(暴力的になった)のです。

記事には馬商人は「邪悪(ond)になった」と書いてありました。

最終的に、馬商人は自分が持っていた馬用のムチでErlandssonを叩いてきました。

そこでErlandssonは、おそらく自己防衛のためにナイフを取り出したのですが、不幸にもそのナイフが馬商人に刺さってしまい、彼は死んでしまいました…。

(Micke):…あの、これ、最後の曲ですよね…(少し笑いが起きる)

かなり鬱な展開のエピソードに思えるんですけど…。

(Olov):本当にそうですよね。

そしてErlandssonはLångholmen(ロングホルメン※地名)の刑務所で、過失致死罪で10年間服役しました。

が、模範囚として行動し、のちに大司教(ärkebiskop)となるある人物とも友達になりました。

(Micke):Nathan Söderblom(ナータン・セーデルブロム)ですね。

(Olov):はい、刑務所内で。

彼はそこの刑務所の教誨師(きょうかいし※刑務所で道を説く人)でしたから。

その後、Erlandssonは刑務所を出て、大司教とも友達のまま、年齢のお祝いも受け、フィドルの演奏も再びするようになり、仕事もたくさん受け、妻とも出会い、子どもを何人も授かり…

(Micke):『Svenska Låtar』(※という伝統音楽の有名な曲集)に載りました、と。

(Olov):そうですね、私たちもそれで(その曲集で)この曲を見つけましたから。

(Micke):(さっきは鬱な展開だったけど)これでやっと、少し気分が良くなりました。

(Olov):うん。

(Micke):この感じのまま終わりたいと思います。

(Olov):皆さん、お越しくださり、ありがとうございました。

この素晴らしいアトリエで演奏させていただき、とても楽しかったです。

心地よい響きの中で、美しい彫刻や絵に囲まれて。

…あそこ(※壁際の絵)にはHjort Anders(ヨット・アンダーシュ)やOle Hjorth(オーレ・ヨット)がいます。

Gås-Anders(ゴース・アンダーシュ)もまたそんなに遠くはないところにいますね。(※Gås-Andersの彫刻のこと)

(※出てきているのは全部昔の演奏家の名前で、アトリエ内に飾られている絵や彫刻で描かれて(彫られて)いる人たちです)

最後の曲、「Erlandsson」です。

(59:30あたりで映されている絵は画面では暗くて見えませんが、こちらのリンク先の絵「Mästaren hyllas, 1946」だと思います(上から3列目の一番左の絵)。Bror Hjorths Husの公式HPです→https://brorhjorthshus.se/bror-hjorth/maleri/

※ここで出ている絵や彫刻の演奏家については、Olov Johanssonのソロコンサートの方がもう少し詳しく説明されているかもしれません、そちらをご覧ください→「Olov Johansson ソロコンサート」(2021)の日本語訳④

⑫(59:38~)「Erlandsson」(エルランドソン伝承のポルスカ)

拍手とアンコール。

(1:03:00~)

(Micke):あら!皆さんもう1曲聴きたいようですね!

(笑いと拍手が起きる)

実は幸運なことに、もう1曲用意しているんです。

(笑いが起きる)

(Olov):はい、私たち、(※ここでニッケルハルパにイスが当たってイスの位置を直す)、私たちもう1曲弾けるんです

その曲は、Östa(ウースタ※地名)に住んでいた演奏家が伝えた曲です。

ÖstaはTärnsjö(ターンフォー/ターンショー※地名)の郊外にあります。

Tärnsjöは私の出身地で、私が生まれ育った場所です。

私がこの曲を見つけたのはアーカイブ(史料を保存している場所)です。

当時「ULMA(ウルマ)」という名前で、ウプサラの中心部にあったアーカイブセンターになります。

私は学校のスポーツ休みの最中、ここに行っていました。

(笑う)

(※「スポーツ休み(sportlov)」は2月上旬にある10日間ほどの学校のお休みです。もともとは一年で一番寒い時期の暖房の節約のために始まったお休みのようですが、今ではスキーなどの「ウィンタースポーツを楽しむ」という名目での休暇になっているため、「スポーツ休み」という名前になっています。にもかかわらず、Olovは「スポーツを全然せずに楽譜をあさって休暇を過ごしていた」という点で自分で笑っています)

(Micke):良いスポーツ休みですね(笑)。

(Olov):素晴らしかったです。古い、ほこりにまみれた楽譜を掘り起こすのは(笑)

(Micke):うん…それ、普通じゃないよ、Olov。

(笑いが起きる)

(Olov):そうだね、でも小さなお宝を見つけましたから。

最後に演奏する曲は「Vallåtspolska från Östa(Östaで伝わるvallåt)」と「Vispolska från Gästrikland(Gästriklandで伝わるvispolska)」です。

(※「vallåt(ヴァルロート)」は家畜を呼ぶ歌や曲のこと、「vispolska(ヴィ―スポルスカ)」は歌われていたポルスカのことです。Gästriklandはイェストリークランド地方です)

(Micke):そうです、そしてこの「vallåtspolska(ヴァルロートのポルスカ)」は、ほとんど「vallåt」に回帰したものになっています。

(Olov):ほとんどそうですね。

今日はありがとうございました。

(Micke):最後の曲は「Gruffalon(グルッファロン)」です。

※vallåtというのはテンポや拍の感じが自由(拍子があまり無いような感じ)で、ゆったりと歌い上げるような歌になっています。「vallåtspolska」というのはそのvallåtをポルスカの3拍子のリズムにした曲のことを指すのだと思いますが、「vallåtに回帰している」と言っているのは、そのポルスカとしてのリズム感などをまた一回取っ払って、もとのvallåtに近い形で演奏している、という意味だと思います。

⑬(1:04:44~)アンコール:「Gruffalon(グルッファロン)」

(1:09:50~)

(Mattias(司会の人)):本当にありがとうございました。

素晴らしいコンサートでした。

お二人をゲストミュージシャンとして迎え、お客さまもこの空間にいらっしゃる(※コロナ禍の無観客の状態ではなく)、この状況がとても嬉しく、光栄に思っています。

お二人は、かなり前に(二人で)ここで演奏されたことがあると聞きました。

私たちにとってあなた方は「伝説」でしたが。

「今日、新しい伝説が生まれた」と言ってもいいのではないでしょうか。

考えてみてください、ここにいらっしゃる皆さんは、それを言うことができるんです。

20年後、25年後に「私はあの時あのアトリエにいたんだよ」と。

(Olov):「10人のうちの1人でした」ってね。(笑いが起きる)

(Matiias):確かに、その通り!

(※コロナの規制でお客さん+出演者+スタッフで10人以内などと定められていたのだと思います)

(※ここでお客さんが何か一言言っていますが、マイクが遠すぎて私には聞こえず)

感謝の気持ちを込めて、今日の思い出として、こちらのミュージアムの図録を受け取ってください。

お二人へあたたかい、盛大な拍手を。ありがとうございました。

(2人が去る)

そして、画面の向こうでご覧の皆さま、ご覧いただき、ありがとうございました。

これからもコンサートの情報をチェックしていただければと思います、たとえばFacebookとか、ニュースレター(Eメール)の登録など。

この秋はコンサートの予定でいっぱいですから。

次のコンサートは9月11日のPelle Westlinです。お客さんの状況はまだどうなるかわかりませんので(※コロナで)、ぜひ新しい情報のチェックを忘れずに。

そして今日こちらにお越しの皆さまも、ありがとうございました。皆さんは素晴らしいお客さんでした。

ありがとうございました。


以上、「Väsen Duo」のコンサートの日本語訳⑥でした。

Car Herman Erlandssonは、名前はよく聞くのですが、彼の人生のエピソードは初めて聴きました。

とてもおもしろかったです。

昔の職業の単語など、私なりに調べて書きましたが…間違っていたらすみません。

コンサートの訳は、どれもゆるく参考にしていただければと思います。

また、「Gruffalon」は2曲目のアレンジがちょっとホラー映画(skräckfilm)っぽくてまた良いですね。

今回訳した動画は2021年のものなので、少し前のものになります。

このコンサートでは「Väsen Duo」のアルバムの曲を演奏していますが、2023年現在では2作目のアルバム「Melliken」も発売されていますので、そちらもぜひお聴きください。

お読みいただき、ありがとうございました。