今日からは「Bror Hjorths Hus」で2021年5月7日に行われた、「Olov Johanssonのソロコンサート」(2021)の日本語訳をシリーズでお届けします。
Olovの話は、もしかしたらたまに聴き取れない(表現や比喩の単語が高度すぎてわからない)時があるかもしれませんが、挑戦していきます。
ぜひコンサートを楽しんでいただけたらと思います。
コンサートについて
コンサートについて先に少しご紹介します。
Bror Hjorths Hus
コンサートの開催場所はスウェーデンのウプサラにある「Bror Hjorths Hus(ブロール・ヨッツ・ヒュース)」です。
ここはもともとはBror Hjorthという芸術家のアトリエで、今は彼の作品(主に伝統音楽と深い関わりのあるアート作品)が飾られているミュージアムです。
様々なコンサートが行われていて、コロナ禍以降は配信も行っています。
Bror Hjorths Husについては、以前ご紹介したこちらのコンサートの訳の記事もどうぞ→Duo Cavez / Paulsonのコンサート、日本語訳①
開催した頃のスウェーデンの状況(2021年5月)
スウェーデンでコロナが猛威をふるい始めたのは日本よりも少しだけ遅く、確か2020年の中盤か後半くらいからだったと思います。(日本ではもう少し早く、2020年の2月下旬頃から、大会や催しなどが中止になり始めました)
私が2020年2月上旬にスウェーデンに行った時は、「日本はなんだか大変そうだね」と色々な人(スウェーデン人)に心配して声をかけてもらいましたが、一方で、彼ら自身は「コロナなんて全然他人事」という感じでしたから。
それで、翌年の2021年はコロナのピークだったと思います。
スウェーデンを含め世界的にコンサートがキャンセルになっている中、行われたのが今回のOlovの配信コンサートです。
配信コンサートとしては、スウェーデン的には割と早めの時期のものだと思うので、まだ「配信の形に慣れていない」時期のものになります。
カメラワークや音響など、まだまだ探り探りだった頃のものです。
このコンサート自体、あまり知られていないコンサートという気がしていますが、見ると世界が変わりますから、どうぞお楽しみください。
動画
※で私の補足説明が入っています。
最初に出てくる男性(Mattias)による紹介は、関係機関の紹介などが入っていて長いので省略いたします。
すごく簡単に書くと、「Hej!皆さんようこそ!今夜はOlov Johansson(オーロヴ・ヨーワンソン)によるソロコンサートで、とても楽しみです」ということをお話ししています。
①(1:05~)「Bohlins skänklåt/Skänklåt efter Hellstedt(ボリーンもしくはヘルステッド伝承のフェンクロート)」
※演奏の途中で音が一瞬乱れますが、すぐに直るので大丈夫です。
(3:30~)
皆さん、こんにちは。
皆さんは今夜、この金曜の夜に、ネジを締めてボタンを留めて(=準備万端で)配信を聴きに来てくれましたね。
私は今夜、ここで演奏するために、ちょっと違う種類のニッケルハルパをいくつか持ってきています。
これらの楽器について、また、演奏家たちについてや、演奏する曲についてなど、お話しながらコンサートをすすめていきます。
この空間、Bror Hjorthのアトリエは、演奏するのに素晴らしい空間です。
私はここで演奏するのが大好きです。
過去にも演奏しましたし、その時はもっとたくさんの人がいました(笑い)
演奏を聴いてくれるお客さんがたくさん、この部屋の中にいましたよ。
でももしかしたら、今夜の方がもっとたくさんの世界中の人に聴いていただけているのかもしれません。
ぜひ、チャットに書き込んでみてください。あなたがどこで聴いてくれているのか。
(※チャット機能は配信中のみのものになります)
皆さんがどこにいるのかを知るのは、いつも楽しいことだと思っています。
(4:22~英語で)
そして世界中で聴いてくださっているインターナショナルな皆さんに向けて、少し英語でお話しします。
(※英語ですが一応訳します)
皆さんがどこでこのコンサートを聴いてくれているのか、ぜひチャットに書き込んでみてください。
後から拝見するのを、私たちも楽しみにしています。
私は今夜、主にスウェーデン語を話す予定です。
ですから、これはスウェーデン語を勉強するチャンスですよ。
グッドラック!
(4:52~スウェーデン語に戻る)
最初に演奏しました曲は、「Bohlins skänklåt(ボリーン伝承のフェンクロート)」、もしくは「Skänklåt efter Hellstedt(ヘルステッド伝承のフェンクロート)」と呼ばれる曲です。
演奏した楽器は、1700年代のニッケルハルパ、「kontrabasharpa(コントラバスハルパ)」です。
私が使っているこちらのコントラバスハルパは、Österbybruk(ウステルビーブルーク※地名)のHans Gille(ハンス・イッレ)によって作られました。
私がこの楽器(Hans Gilleが作った楽器)を手にしたのは1989年です。
(楽器を受け取るために)彼の家まで取りに行きました。
コントラバスハルパには、2本のメロディ弦があり、その間に1本のドローン弦(ボドゥーン弦)があります。
ドローン弦は、同じ音を常に奏で続ける弦のことです。
割と色々な調の曲を弾くことができますが、一方で、このドローン弦に会う音楽(曲)でないといけません。いわゆるモダール(教会旋法)の曲などがこちらにあたります。
さて、次に演奏する曲は私が作ったポルスカです。
この曲はある出来事に基づいて作りました。
私たち(家族)は、何かのお祝いをするために、ウプサラ郊外にあるRamsta(ラームスタ)の小学校にいました。
(※小学校と書きましたが、正確には「学校」を複数形で言っているので、おそらく保育園や中学校も同じ敷地にあるところだと思います。Olovが話題にしているのは小学校だと思います)
ここは私の子どもが通っていたところで、(彼らにとっての)最初の学校でした。
その日は両親と子どもたちが集まっていました。
子どもは、年齢が上の子は小学6年生から、下の子はもちろん小学校低学年の子もいましたし、保育園に通うような子どもたちまでいました。
両親と子どもたちがいて、子どもたちはそれぞれ、ヘリウムガスの入れられた風船(のひも)を手に持っていて、合図があればすぐに風船を空へと飛ばせるようにしていました。
でも、誰か遅れている人がいて、その人を待たなければいけなかったんです。
その人はスピーチをする予定の人でした。
待っている間、そこには特別な空気が流れていました。
全員、とても静かにしていて、その人が来るのをただ待っているのです。
すると、1人の子どもが集中力を切らして手を離してしまい、風船が空に向かって舞い上がりました。
もちろん、その子どもの泣き声が聞こえてきました(笑い)
その後再び静かになり、そしてまた新たに1つの風船が空に舞い上がり、別の子どもの泣き声が聞こえてくる…。
そして最終的には、その(待たれていた)人が来て、スピーチをして、皆で風船を(手放して)飛ばしました。
風船の中には、それぞれのメールアドレスを書いた紙を入れていて、風船を見つけた人がどこで見つけたのか(風船がどこまで飛んでいったのか)を知らせられるようになっていました。
一番遠くに飛んだ風船は、スウェーデンとオーランド※の間の島(小さな島)で見つかったそうです。結構遠くまで飛びましたよね。
この出来事で、私は曲を作りました。
「Ballongen(風船)」です。
このような曲になっています。
※参考:Wikipedia「オーランド諸島」(日本語)→https://ja.wikipedia.org/wiki/オーランド諸島
②(7:21~)「Ballongen(風船)」 av Olov Johansson
ということで、続きはまた明日書いていきます。
以上、「Olov Johanssonのソロコンサート」(2021)の日本語訳①をお届けしました。
続きはまた明日書きます。
お読みいただき、ありがとうございました。