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今日の自分にできることは、今日の自分の演奏をすること

/ ニッケルハルパ奏者

私は以前、「楽器の練習は、三歩進んで二歩さがる」だ、と書きました。

三歩進んで二歩さがる。うろうろし、失敗することの大切さ

もう一つ、楽器の演奏に関して思っていることがあります。

「今日の自分にできることは、今日の自分の演奏をすること」だ、というものです。

今回はこのことについて書きます。

昨日できなかったことが、今日いきなりできる時がある

楽器を練習していると、「昨日できなかったことが、今日、なぜか急にできるようになる」ということが起きると思います。

三歩進んで二歩さがるの、「三歩進む」の部分です。

なぜできるようになったのか、その理由はわかるような、わからないような感じ。

でもとりあえず今、できている。

昨日までできなかったのが不思議なくらいに、当たり前のように、今の自分にはできている、ということがよく起きます。

昨日できたことが、今日できなくなってしまうこともある

しかしその一方で、「昨日できたことが、なぜか今日はできない」ということも起きます。

三歩進んで二歩さがるの、「二歩さがる」部分です。

ここでもまた、なぜできなくなってしまったのか、昨日と今日との違いはわかるような、わからないような、という感じです。

原因は曖昧なまま、「とりあえず今日はできていない」という事実だけが残ります。

それは楽器のテクニック的なものかもしれないし、弾いている際に感じる身体の不調や、メンタル面での不調などかもしれません。

できないのは悔しいですし、場合によってはそこでスランプに陥ってしまうこともあります。

できる、できないのプロセスを繰り返しながら、自然と身につけていく

本当に何かを身につけていく時というのは、「できる」状態と「できない」状態とを交互に繰り返しながら、自然と「できる」状態が増えていくことだと私は考えています。

一度できるようになったらそれで終わりではなく、そこからまたできなくなって、でもまたできるようになって、という感じです。

そうやっていくうちに、「できる」状態がより確実になっていきます。

なので、一度できたはずのことができなくなっても、焦る必要はありません。

それも上達するために必要なプロセスだからです。

今日は今日の演奏、明日は明日の演奏をする。今の自分の流れに乗る

そして、そんな「できる」「できない」の波以外にも、日々色々な事情で、自分の調子は常に変わってくると思います。

そんな時、調子のよしあしにいちいち振り回されるのではなく、自分に降りかかってくるすべての事情を飲み込んだうえで、

「今の自分にできる演奏を、今、する」ことが、大切だと思っています。

昨日の演奏や、調子の良い時の演奏をただ再現するのではありません。

今日の演奏をするのです。

今日の演奏ができるのは、今日の自分だけです。

これは、昨日の自分の演奏とは違うものになると思いますし、明日の自分の演奏とも違うものになる思います。

どう違うのか、上手く他人に説明する必要はありませんし、変化の大きさも問題ではありません。

自分が「今の自分の状態」を知り、「今の自分の流れ」に乗ることが大切です。

そうすれば、毎回新鮮な気持ちで、過去の自分に縛られずに演奏することができると思います。

「昨日できたはずのことが今日はできない」と感じると、きっと落ち込む人が多いと思いますが、

昨日と今日は別物だと考えれば、昨日の自分には無い要素を今日の自分の演奏に見つけることができますし、「今日の自分を活かす」ためのスイッチが入ると思います。

すると、音楽の流れも、確実に良いものに変わっていきます。

他にも、たとえば何かの本番が明日あるとして、

「練習最終日の今日、できなかったから、明日の本番でもできないだろう」と思う必要もありません。

今日できないからといって、明日もできないかどうかは、やってみないとわからないからです。

今日の自分と明日の自分は違います。

明日、急にできちゃうということも、全然ありうるのです。

昨日までの自分の力量で、今日(明日)の自分のポテンシャルを決めつけないこと

今日の自分にどんな演奏ができるのかは、誰にもわかりません。

自分自身にさえ、わかりません。

今日や明日以降の自分の演奏を、昨日までの自分の力量で、決めつけるべきではありません。

「昨日できなかったから、きっと今日もできないだろう」とか、

「昨日できたのに今日できなくなった。ああ、これで明日もできなければ、またできない状態に戻ってしまう」ではなく、

「今日は今日、明日は明日。どうなるかは、やってみないと誰にもわからない」です。

先日も書いた通り、変化を感じたり、流れに身をまかせることは、怖いことかもしれません。

先日の記事→伝統音楽の即興性とコミュニケーション

ですが、怖くても、流れに乗ることで、より自然体で生き生きとした演奏ができると私は思っています。


以上、「今日の自分にできることは、今日の自分の演奏をすること」について書きました。

とにかく大事なのは、昨日や今日の自分のポテンシャルで、今日や明日以降の自分のポテンシャルを決めないこと、

そして、やってみないとわからないから、やってみよう、ということです。

お読みいただき、ありがとうございました。